リース会計
リース会計とは何か
リース会計基準とはリース取引に関する会計処理で、そのために定められた規定をリース会計基準といいます。
リース取引とは企業が事務機器や車両などを購入するのではなく、リース会社などの貸手と賃貸借契約を結び、合意された期間(リース期間)の間、合意されや利用料(リース料を支払い、必要な資産・設備を使用する取引のことを指します。
日本では1993年に大蔵省(現・財務省)がリース会計基準を公表しました。このときの会計基準では、リース取引をファイナンスリースとオペレーティングリースに区分し、ファイナンスリース取引は売買取引(オンバランス)、オペレーティングリース取引は賃貸借取引(オフバランス)と定めていました。
しかし、リース契約が満了した際に所有権が移転しないファイナンスリース取引については、例外的に、一定の注記を条件に賃貸借取引(オフバランス)として処理することも認められていたため、多くの企業がこの例外処理を採用し、リース取引は注記のみの開示としてオンバランスされていませんでした。
その後、グローバルビジネスの拡大や海外投資家の増加などもあり、国際的な会計基準との調和を図るために2007年にリース会計基準が改正となり、所有権移転外ファイナンスリース取引の例外処理は廃止され、売買取引(オンバランス)として処理されることになりました。
一方、オペレーティングリースにおいても固定資産と同様に収益を上げるために利用されているにも関わらずオフバランスされ続けているという点が以前から問題視されていたことから、2016年にIFRS(国際会計基準)のリースが改正され、オペレーティングリースを含む全ての借手のリース契約は原則オンバランスとするIFRS16号が公表されており、日本国内においても2019年3月にASBJ(企業会計基準委員会)より、日本におけるリース会計基準の改正に着手する旨が公表されました。
リース会計基準が定められた理由
リース会計基準が求められた理由は大きく2つあります。
ひとつは企業のリース取引による設備調達が拡大する中で、リース取引に関する株式市場からの開示要請です。
もうひとつはグローバルビジネスの拡大や海外投資家の増加に伴う国際的な会計基準との調和です。欧米では日本よりも早くリース取引が拡大し、リース会計基準も早くから制度化されていました。そこで、日本の会計基準と国際的な会計基準と調和させることで、海外投資家から見た日本企業の不透明性に対する批判に応えるためにも、日本でのリース会計基準の整備が求められていました。
リースとレンタルの違い
リースとレンタルの大きな違いとして契約期間の長さがあります。リースが比較的中長期であるのに対し、レンタルは一日や一週間など短期間での利用が一般的です。その他にも以下のような違いがあります。
リース | レンタル | |
対象物件 | ユーザーが指定した物件を リース会社が購入 |
レンタル会社の保有物件を 貸出 |
所有権 | リース会社 | レンタル会社 |
中途解約 | 原則不可 | 中途解約可能 |
保守・修繕 | ユーザーに義務がある | レンタル会社に義務がある |
料金体系 | 物件価格×リース料率 | 一定の料金設定 |
契約期間終了後 | 再リースか返却 | 契約延長か返却 |
リース会計に関連する用語
リース会計やリース取引に関連する主な用語として以下のようなものがあります。
<ファイナンスリース>
企業が設備を調達する際に、物件代金や諸費用の概ね全額をリース料として支払い、中途解約ができない賃貸借契約で、通常、リース取引というとファイナンスリースを指します。
<オペレーティングリース>
ファイナンスリース以外のリース取引のことで、その代表的なものは、中古市場が確立されている自動車や航空機などの物件を対象に、リース契約期間満了時における中古価額をあらかじめ見込み、リース期間中の物件の使用価値に見合ったリース料を設定することが可能な賃貸借契約です。
<所有権移転・所有権移転外>
リース契約が満了した際、物件の所有権が使用者に移ることが予め決められている契約のことを所有権移転ファイナンスリースといい、所有権の移転がないリース契約を所有権移転外ファイナンスリースといいます。
<再リース>
リース契約期間が終了した後、その物件を継続して借りること。リース期間終了後にユーザーが再リースを希望する場合には、1年単位で契約を更新することができ、通常、当初のリース料に比べて大幅に安いリース料が設定されます。
<リースバック>
ユーザーが所有する物件をリース会社が買取ると同時に、その物件を再び同じユーザーに貸出す取引のことで、セール・アンド・リースバックと言う場合もある。ユーザーにとっては、引続き設備・機器を使用しながら所有に伴う事務処理が合理化される他に、資金調達の手段として用いられる場合があります。
<オフバランス>
事業運営に活用している資産・負債でありながらも、貸借対照表(バランスシート)に計上されない状態をオフバランスと言います。以前の日本の会計基準では、リース取引はオフバランス取引の典型的なものでしたが、株式市場からの開示要請や会計基準の国際化の流れやにあわせてリース取引など、従来オフバランスとして処理されていた様々な取引に関して会計基準が厳格化されており、オフバランス取引は縮小の傾向にあります。