BlackLine Summit2025─AIとテクノロジーで描くCFO組織の未来 ~革新的なプラットフォームがもたらすプロセスの最適化とリアルタイムインサイト~
「BlackLine Summit2025」レポート#1
2025年2月28日(金)、ブラックライン株式会社主催による「BlackLine Summit 2025」が東京ミッドタウンで開催されました。会場には多くの企業のCFOをはじめとした経理財務の業務に関わる方々にお越しいただきました。
今回のレポートではBlackLine Inc. Chief Technology Officer のJeremy Ung の講演内容を紹介します。
「AIとテクノロジーで描くCFO組織の未来
~革新的なプラットフォームがもたらすプロセスの最適化とリアルタイムインサイト~」
昨年11月、BlackLine Inc.(米国カリフォルニア州ロザンゼルス)は、今日のダイナミックなビジネス環境をナビゲートするために必要な機能を財務・会計プロフェッショナルに提供する、革新的なプラットフォームBlackLine Studio360(以下Studio360)を発表しました。
本講演では、BlackLineのビジョンや、Studio360を通じてBlackLineがDXによってどのようにお客様の変革とビジネスの成功をサポートするかが紹介されました。
<アジェンダ>
現在の会計システムを取り巻く環境
最初に、Fortune500のある企業のCAO(Chief Accounting Officer)の言葉を引用し、変革を成し遂げ、ビジネスで成果をあげるために、CFO組織がシームレスでリアルタイムな情報で意思決定をリードすることが重要であるとコメントしました。
しかし、会計システムをとりまく環境は非常に複雑です。会計システムの周りにある様々なシステムやローカルのPCにデータが散在し、ビジネスの全体像をタイムリーに把握することは困難です。事業環境の変化が厳しさを増す中で、意思決定のスピードは大きな差別化要因です。一貫性があり、アクセスしやすく、インサイトを行動に移すためのデータが必要なのです。
Studio360の概要と顧客事例
その課題の解決を強力に支援するのがBlackLineの革新的なプラットフォーム「Studio360」です。
Studio360には、変革を可能にする5つの要素があります。
Studio360 Integrate:
コネクターや API を介して様々なデータソースからのデータの統合、クレンジング、変換を行います。拡張性や安全性を備え、正確で単一のデータを確保します。
Studio360 Orchestrate:
BlackLine アプリケーションに加えて、ERPや財務管理、調達など、周辺のシステムにわたるワークフローをマッピングし、最適化と自動化を実現し、リアルタイムの進捗管理とイベントベースのスケジューリングによって、シームレスな統合と業務効率の向上を実現します。
Studio360 Visualize:
カスタマイズ可能なダッシュボードとレポートによって、AIを活用したリアルタイムのインサイト、異常検知、例外処理、KPIモニタリングを提供し、データドリブンの迅速な意思決定を可能にします。
Studio360 Blueprint:
多くの導入実績に裏打ちされたベストプラクティスを提供。BlackLineと世界をリードするパートナーによって更新されたプロセス設計テンプレートの広範なライブラリが用意されています。
Studio360 Control:
BlackLineのDNS/心臓部とも言える統制機能。財務データの階層、ポリシー、認証を一元管理し、ガバナンスとリスク管理を強化します。
Studio360の各要素はそれぞれが独立したプロダクトではなく、インフラのレイヤーです。「決算プロセス管理」や「関係会社取引管理」などのアプリケーションの土台にStudio360を据えることで、データの信頼性とリアルタイム性を高め、アプリケーションの機能も高め、生産性のさらなる向上を実現することが可能になります。
<Studio360 Orchestrate の顧客事例>
すでに約30社のお客様がStudio360 Orchestrateで成果を上げており、プロセス横断での進捗状況の可視化やタスクごとの詳細なアクティビティのトラッキングなどの活用イメージと、顧客事例のサマリーが紹介されました。
BlackLineのAIストラテジー
BlackLineのAIストラテジーは以下の通りです。
「BlackLineは、ユーザーがAIの決定をコントロールできるようにすることで、ユーザーが AI を活用することに対する信頼を構築し、将来に備えた経理財務業務の最適化と合理化を実現します。」
BlackLineはAIに対し思慮深いアプローチをとっていますが、ポイントは、ユーザーが主体であり、ユーザーがAIをコントロールできること。そして、ユーザーにAIの価値、AIの成果を早く感じてもらうこと。そのために、ユーザーがAIを信頼できる、そのきっかけとなるように、AIを活用した機能を提供しています
(下図参照)。
CFO組織の未来
講演の最後に、AIを活用してCFO組織としていかに将来に備えた対応をするか、その3つのポイントと、関連する機能が紹介されました。
・AIエージェントによる意思決定支援「AI Agentic Rule Writer」
経理業務には様々な取引の照合業務があり、BlackLineはグローバルで400億件のデータを照合していますが、そのうち60億件が手作業でのレビューを必要としています。BlackLineは、AIエージェントを活用した照合機能でこの60億件のデータの整合率を向上させ、データの信頼性を高め、手作業の時間を大幅に削減します。
・予測インテリジェンス:「関係会社間取引 予測ガイダンス」
BlackLineでは多くの時間を費やし、複雑でミスが起こりやすい関係会社間取引管理に予測インテリジェンスを活用しています。AIが取引データをレビューし、問題が発生しそうな場所を予測し、リスク要因を説明し、修正の可能性を特定します。
・自然言語と大量データの探求:「Journals Risk Analyzer(仕訳リスク分析機能)」
AIを活用することで、データ分析の専門家でなくてもデータからインサイトを浮彫りにすることができます。その一例が仕訳リスク分析機能です。大量の仕訳データや非構造化データを分析し、異常値を検知し、リスク評価を強化します。
※Journals Risk Analyzerの詳細はこちらからご覧ください
Studio360の日本語版は未だリリースされていませんが、昨年11月後半にリリースされたにも関わらず、すでに多くのお客様がその成果を実感されており、日本語版のリリースが待ち遠しいところです。
Studio360についてのより詳しい情報は、こちらをご覧いただくか、弊社までお問い合わせ下さい。