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日本ゼオンの経営管理DX:タスク管理機能で業務の10%削減を実現

「BeyondTheBlack TOKYO 2023」レポート

2023年8月23日・24日の二日間にわたり、ブラックライン株式会社主催による「BeyondTheBlack TOKYO 2023」を開催いたしました。今回のテーマは「ファイナンス×人的資本経営」で、非常に多くのお客様にご参加いただきました。本ブログでは、その一部をレポートさせていただきます。

BTB2023Zeon Kotake.png日本ゼオンは1950年に創業され、現在はグループ会社を19カ国に拡大するグローバル企業。主力事業は、一つ目が合成ゴムをはじめとするエラストマー素材事業、二つ目が光学特性に優れた高機能樹脂、プラスチックフィルム、電子材料、リチウムイオン二次電池材料などの高機能材料事業です。この二つの柱を基に事業展開を進めています。

経営管理のDXをめざす

同社の経営管理DX企画推進室 室長である小竹裕氏は、経営管理DX推進についての考え方を紹介しました。

「変化の激しいビジネス環境に対応するため、業務効率化と経営管理力の強化を目指しています。具体的には、電子化、可視化、一元化からの取り組みを開始し、次に標準化、効率化、自動化を推進しています。特に、経営管理のDXを進める上で、ブラックラインの管理機能の導入が大きなインパクトをもたらしました」(小竹氏)

日本ゼオンが以前に直面していた経営管理のDX化に関する課題は主に、業務面と組織面の二つでした。リモートワークが前提となる経営管理業務では、各メンバーが地理的に離れて業務を遂行していたため、業務の進捗状況が分かりにくいという問題がありました。さらに、監査法人との資料提出や説明のやり取りも非効率であったというのが実情です。

同社の経営管理統括部門 経営管理部 経理グループ長、兒玉隆志氏は当時の状況について振り返ります。

「組織面では、個々の担当業務が明確に可視化されていなかったため、メンバーの異動が起きた際に業務分担の見直しに困難を感じていました。また、誰がどの業務をどのぐらいの期間行っているのかが把握できず、同じ担当者が長期間にわたり特定の業務を担当している状況がありました。さらに、中途入社者には、速やかに当社の経理業務に適応できるように業務を一元化し、可視化する必要がありました」(兒玉氏)

その解決策として、2021年にブラックラインのタスク管理機能の導入を決定。2022年2月より運用を始めました。初めての取り組みでは月次や四半期の決算タスクに焦点を当て、従来個々に管理されていた業務を一覧化。次に、所定のエクセルフォーマットに業務の目的、手順、所要時間などを記入し、ブラックライン上でタスクを設定しました。

「ブラックラインのタスク管理機能により、すべての情報が集約されました。関連するメールや成果物も一元化することで、作業手順や担当者間、承認者間のコミュニケーション履歴も網羅的に把握できるようになりました。」(兒玉氏)

タスク管理機能で会計業務を10%削減

しかし、一元管理システムの便益を享受するには、まずブラックライン内に全ての情報を集約する作業が不可欠でした。それまで文書化されていなかった作業手順も存在したため、初期段階での導入作業は困難を極めました。

「ブラックラインでの管理が必要な理由について疑問の声も上がりました。社員たちは日常業務に追われている中で、導入作業の進行にばらつきが出ました。この課題を解決するため、社内に導入支援チームを組織し、導入の障壁を特定し、サポートを行いました。」(兒玉氏)

その結果、月次決算や四半期決算のタスクは全てブラックラインのタスク管理機能で一元管理できるようになりました。加えて、監査人にブラックラインの閲覧権限を付与することで、資料提出にかかる時間も大幅に削減されました。

「これらの効率化措置により、2022年度には業務時間が全体で約10%削減されたと評価されています」と兒玉氏は続けます。

さらに、組織運営においても大きな効果が見られました。メンバーの異動時の業務調整や、計画的な業務ローテーションが容易になったと報告されています。作業手順をブラックラインで詳細に記録することで、中途採用者が迅速に業務に適応でき、教育の面でも、変化する環境に柔軟に対応する能力が高まりました。

「更なる予想外の効果として、産休や育児休暇を取る際の業務整理が容易になったほか、税理士試験のための時間確保や、急な欠員が出た場合の迅速な対応も可能になった。」(兒玉氏)

現在は単体財務と連結財務で業務が分かれていますが、ブラックラインの更なる活用によって、将来的には経営管理部が担当する業務全体を、部署の壁を越えて協力し合うような体制へと進化させることが期待されています。ブラックラインの導入が示す効果により、理想的な経理組織への道筋が見え始めたとし、兒玉氏は3つの展望を語ります。

「第1に、業務全体のビジョンが各社員に明確であり、それに基づいて仕事が進行されていることです。例えばサッカーでいうところの、各ポジションと戦術の理解が深まっている状態です。第2に、環境の変化に柔軟に対応できる組織でありたいと考えています。そのためにも、ポジショニングや攻撃・防御戦術を刻々と調整しています。第3に、厳しい局面に遭遇しても、一人一人が過度に疲弊しないよう、協力し合って乗り越えられるような体制を整えています。」(兒玉氏)

BTB2023Zeon Kodama.png今後の展開について、経営管理のDX化をさらに推進し、ブラックラインによる予算や見込みの策定など、経理の業務範囲全体に広げていきたいと兒玉氏。仕分けやマッチングなど、効率化と自動化を目指す新機能も、2023年度に導入が予定されています。兒玉氏は「こうした取り組みを通じて、社員それぞれが充実した働き方と成長の機会を持つことができる企業にしていきたい」と強調し、講演を締めくくりました。

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