【後編】経理部門における優秀な人材の確保・育成~調査データとBlackLine導入企業の事例から~
優秀な人材の確保と育成は、昔も今も企業にとって重要な経営課題のひとつです。経理部門においても同様ですが、近年、優先度の高いテーマとなっています。
本テーマのブログ前編では、経理部門で優秀な人材の確保・育成が喫緊の課題となっている背景から、その課題解決に必要な要素を考察しました。後編となる本ブログでは、優秀な経理人材の確保・育成に対して、BlackLineがどう貢献できるか、事例も交えてご紹介いたします。
アジェンダ
優秀な経理人材の確保・育成にBlackLineはどう貢献できるか?
前編のブログで述べた、優秀な経理人材の確保と育成に重要な要素である「柔軟な働き方」「学習機会(スキル)」、「成長機会(経験)」、「モチベーション」、「DXの推進」の5つに対してテクノロジーはどう貢献できるか、BlackLineのお客様の声や事例を中心にいくつかご紹介します。
BlackLineは下図のようにERPや会計システムの周辺に残る手作業をデジタル化し、経理処理に関連するドキュメントやファイルを一元管理することで、経理部門のオペレーションに変革をもたらすクラウドソリューションとして多くの企業で導入が進んでいます。
そして、優秀な人材の確保・育成に重要な5つの要素に対して、BlackLineが貢献できるポイントとして、以下の5つが上げられます。
- 可視化と情報共有
- マニュアルワークからの解放
- 情報武装
- DX人材の育成
- 先進的なオペレーション
ポイント① 可視化と情報共有 -学習機会、DXの推進-
BlackLineによる経理プロセスの可視化と関連情報の一元化で、経理業務の標準化と統制強化が促進されます。この可視化と一元化(情報共有)は担当者に様々な気付きを与え、担当者の意識改革や責任感の醸成、標準化されたプロセスのさらなる改善など、「個人のスキルやナレッジの向上」を促す効果もあります。
ポイント② マニュアルワークからの解放 -学習機会、成長機会、モチベーション-
BlackLineによるオペレーションのデジタル化は、手作業を極小化し、業務に必要な情報へのアクセスを容易にすることで経理部門に多くの余力を創出します。
担当者は自己学習や外部交流などのキャリア形成の時間や、自社ビジネスへの理解を深める時間、より高度な業務にチャレンジする時間(成長機会)などを確保することができます。また、管理者やリーダークラスの方であればチームのメンバーを育成する時間に充てることも考えられます。
ポイント③ 情報武装 -成長機会、モチベーション、DXの推進-
経理部門の仕事は数字をまとめるだけではありません。経営の意思決定の支援や事業部門の目標達成をサポートすることも重要な役割となりつつあります。
経営層や事業部門のトップやリーダーたちと対峙し、ビジネスの最前線で貢献の手応えを感じることは経理の仕事の醍醐味であり、その経験はキャリアアップにも大きな影響を与えます。そして、その役割を果たす場面で最も重要な武器が会社の経営情報や財務状況などの数値情報です。
経営の意思決定を支援するには会計データ以外にも将来予測や市場の情報、世界情勢や経済動向に関する情報などの幅広い情報と分析が必要ですが、経理としての分析の起点となるのは財務数値です。実績値を正確に把握することは予算管理や業績予測の向上に不可欠です。加えて、タイムリーなインサイトを得るには実績に対する”信頼”が必要です。不確かな情報では、良い分析を行うことはできません。
BlackLineは、多くのグローバル企業がそうであるように、グループ内で複数のERPを運用している場合でも、グループ各社の決算プロセスと財務数値を束ね、一元化し、財務数値の信頼性を向上させることができます。情報武装の土台を作り、仕事の醍醐味と成長機会の提供に貢献します。
※関連ブログ:世界的大企業での経理財務変革の道のり -Johnson & Johnson社の事例より-
ポイント④ DX人材の育成 -学習機会、成長機会、DXの推進-
BlackLineの大きな特徴のひとつに「経理ユーザー自身が設定変更や機能拡張を担う」というのがあります。新しいモジュールの導入やERPなどの他システムとのデータ連携ではベンダーやIT部門の参画が必要ですが、運用開始後の適用領域の拡張や照合処理などのルールの変更などはユーザー自身が行えるように開発されています。
経理ユーザー自らがテクノロジーに触れ、業務プロセスのデジタル化を進めるために、テクノロジーに関するナレッジの習得とテクノロジーを業務変革に活かす経験(実践の場)の両面で、経理部門でのDX人材の育成を支援します。このことを端的に表す言葉として、お客様からこんなコメントをいただいています。
「BlackLine導入は、自分たちで業務を変えていくことができるツールを手に入れられたというのが大きい。メンバー皆で知恵を出すと新たなことが実現できるのがBlackLineの強みである。」
また、自分たちのアイディアを自分たちでシステムに反映させ、自分たちで業務プロセスを変えることで、こんな変化が現場で起こっています。
「自分たちの経理業務をよくするため、そして業務効果を出すために、プロジェクトメンバーがワクワクしながら取り組んでいる。プロジェクトは通常大変なものだが、BlackLine導入はワクワク感をもって進んでいる。」
ポイント⑤ 先進的なオペレーション -DXの推進、モチベーション-
テクノロジーを活用し、先進的なオペレーションや、リモートワークなどの柔軟な働き方を実現している組織は、外部人材の獲得において優位です。前述のCFO協会のサーベイで働く組織を選ぶ上で「柔軟な働き方」を重視すると回答した割合は4割を超えていますが、リモート決算を実現し、定着化させるためには「決算プロセスの可視化」と「情報共有」は必須ですし、電子承認やワークフローなどオペレーションのデジタル化も欠かせません(※1)。また、アドビ社が2021年にコロナ禍に入社した社員に対して行った調査(※2)では、
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- デジタル化は就活時の企業選定において重要と回答した割合は約7割
- 今勤めている会社にもっとデジタル化を進めてほしいと回答した割合は9割超
と、高い数値となっており、デジタル化を推進していること自体が、学習機会や成長機会への期待や、他社よりも一段上の仕事(の進め方)ができるかもしれないという期待など、モチベーションの向上にプラスの影響を及ぼしていることがうかがえます。
※1 リモート決算の事例:花王様、セゾンテクノロジー(旧セゾン情報システムズ)様、旭化成様
※2 アドビ株式会社「コロナ禍入社社員への企業満足度調査」
人材確保・育成に取り組むBlackLineユーザー様の例
ケース1:日本ゼオンが目指す経営管理DX
日本ゼオンはエラストマー素材と高機能材料という2本柱の事業をグローバルに展開している化学メーカーで、中期経営計画を実現するために、経営管理DXへ取り組んでいます。同社は、最新のデジタル技術を活用した業務効率化と経営管理高度化を推進する中で、経理業務の「電子化・可視化・一元化」から取り組みをスタートし、「標準化・効率化・自動化」へとステップアップを図り、さらには「データの利活用や高度化」へと進めています。
BlackLineを導入する以前、同社では各人の業務がブラックボックス化し、業務の進捗が把握することが難しい状況でした。特定メンバーへの負荷の集中による業務停滞、人事異動時の引継ぎや中途社員のキャッチアップなどの課題を抱え、組織の機能を十分に発揮できていない状況でしたが、BlackLineのタスク管理機能を導入したことで、業務効率化だけでなく、組織変革においても大きな成果が出始めています。
経理のグループ長はBlackLineの成果について次のようにコメントしています。
「各メンバーの業務の進捗状況や作業負荷のバラツキが見えないといった課題は、BlackLineの活用によってほぼ解決できています。コミュニケーションもBlackLineベースで行えるようになったことから、在宅勤務に移行する以前よりもスムーズになったほどです。」
さらにBlackLineの定着に伴い、現場からは「産休・育児休暇の取得に向けて業務の整理がつけやすい。家族の負担も減らせそう」「税理士試験対策のために試験休暇を取ったときも、一時的な担当者変更を楽に行え、キャリア形成の時間が確保できた」など、柔軟な働き方や学習機会、成長機会の確保など、個々人の人材価値の向上という観点での評価の声が寄せられています。
日本ゼオンの経理部門の将来の目指す姿に向けた道のりは長く、会社の成長と社員一人ひとりの活躍・成長の両面で成果を上げるべく、変革へのチャレンジを続けています。
図)2030年のありたい姿を目指した今後のステップ
※日本ゼオン様の導入事例の詳細はこちら
ケース2:THKが推進する財務経理部門のデジタル変革
大手機械要素メーカーのTHKでは2013年から共通会計プロジェクトを開始し、会計システムの共通化、会計期間の共通化、会計基準の共通化の3つの共通化を目指して、SAP社のERPをまずは本社に導入し、その後、グループ会社へ展開、2019年12月期からIFRSの任意適用を開始するなど、着実な成果を上げてきました。
しかし、会計システムが共通化し、グループレベルで会計データの標準化が進んだものの、経理の現場では決算業務の属人化や慢性的な長時間残業は解消されていませんでした。その問題を解すべくBlackLineを導入し、現在では本社の財務経理統括本部のCoE化を目指した変革のセカンドステップを推進しています。
BlackLineを導入した大きな効果の一つとして、決算に携わる関係者全員の意識を変えたことが挙げており、財務経理を統括する役員の方はBlackLine導入による現場の変化についてこう語っています。
「BlackLine導入で証跡を含めた全ての資料が唯一無二の正の情報としてそこで管理されているため、迷いやストレスはありません。こうした“共通言語”ができたことで、各担当者は自分が今、何をなすべきかを常に意識するようになりました。」
THKの取組において、ERPは変革の土台となる会計情報の基盤として欠かせない仕組ですが、BlackLineを組み合わせることで、その会計情報を活用する経理オペレーションの標準化と効率化を実現しました。そうして、現場の意識改革を促すことで、経理機能のさらなる高度化と人材価値の向上を目指して変革を推進しています。
※THK様の導入事例の詳細はこちら
最後に
経理部門にとって人材の確保と育成は喫緊の課題です。この課題を解決するために、学習機会と成長機会を提供し、情報武装を積極的に支援することは企業の責務であり、企業価値の持続的な向上を実現するために必要不可欠な投資です。
テクノロジーが全てを解決するわけではありませんが、従来の延長線上にあるような対症療法的なテクノロジー活用では、この人材の課題を解決することは困難です。人的資本経営という言葉が注目されて久しいですが、人材の価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる“人的資本経営の実践”が、今こそ、経理の現場で求められています。
文中で先行する日本のお客様の声や事例を紹介したように、BlackLineには経理人材の価値の最大化を強力に支援するソリューションと、人材価値の最大化に向けたロードマップの作成と推進をお手伝いするパートナーや、同じ課題に取り組む企業様と共に学ぶ場所(※)があります。ぜひ一度弊社イベントにお越しいただき、実際の声に触れてみてください。
※関連ブログ:
「2024年3月19日、BlackLine Japan User Group設立3周年記念イベントを開催」
「日本企業がFP&A機能を強化するために -Executive Round Table 開催レポート」
<ライター>