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BeyondTheBlack TOKYO 2024─CFO組織が牽引する企業価値向上と変革への挑戦

「BeyondTheBlack TOKYO 2024」レポート

2024年8月29日、ブラックライン主催の「BeyondTheBlack TOKYO 2024」が開催された。本イベントは、CFOおよび経理・財務部門向けの特別カンファレンスとして、六本木ミッドタウンにてリアル開催。ブラックライン株式会社代表取締役社長の宮﨑盛光氏によるオープニングトークと、BlackLine Inc.共同CEOかつ創業者のTherese Tucker氏による基調講演が行われた。さらに、前ブリヂストン執行役専務グローバルCFOで現CFOサポート代表取締役CEOの吉松加雄氏がキーノートスピーチを務めた。その後の事例セッションでもCFO/CFO組織の課題や未来像、人財育成などについての多くの知見が紹介された。

CFOの進化:企業価値最大化への期待と新たな役割

オープニングトークでの宮﨑社長は、近年のCFO出身CEOの増加傾向に言及し、企業価値最大化への期待が高まっていることを指摘した。「日本の有力企業でCFO出身のトップの方々が続々と登場し、経理財務に対する期待値が非常に高まっています」と述べ、特に海外、とりわけ米国ではCFOの重要性が非常に高く評価されていることを強調した。

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具体的に、アサヒグループHD、NEC、NTT、ソニーグループ、第一三共、ウシオ電機、ニコンなど、多くの日本の大手企業でCFO出身者がCEOに就任している例を挙げ、現代のCFOに求められる資質について言及した。

「リスクと収益、資本を三位一体で考える能力、社内外のステークホルダーに対する最良のスポークスマンとしての役割、メガトレンドを見極めリスクをコントロールしながら成長機会を捉える力、リスクを見極めた上で決断する勇気と逆境に耐える忍耐力などが重要です」

と宮﨑氏は説明した。

また、CFO協会の調査結果を引用し、現場での取り組みについても触れた。「人財の確保・育成、業務のデジタル化推進、経営情報の整備が上位を占めています。特に経営情報の整備に関しては、生産性を上げなくてはいけない領域だということで急激にポジションを上げてきています」と宮﨑氏は述べ、CFO組織の課題と優先事項を明確にした。

デジタル技術とAIがもたらすCFO業務の革新

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続いてBlackLine 創業者のTherese Tucker氏が登壇。BlackLineの創業から現在に至るまでの歩みと、同社のミッションについて語った。「我々のミッションはデジタルでファイナンスのトランスフォーメーションを鼓舞し、力を与えて導いていくことです」とTucker氏は述べ、デジタル技術を活用した財務業務の変革を目指す同社の姿勢を明確にした。

Tucker氏は、BlackLineのプラットフォームとしての機能を示した。請求から入金管理(Invoice-to-Cash)。そして決済(Financial Close)、企業間の取引管理(Intercompany)そして、最後に連結・財務状況の分析(Consolidation & Financial Analytics)といった流れの一貫性を強調した。

さらに、Tucker氏はAIの活用が財務・会計分野にもたらす可能性を語った。「AIはおそらくテクノロジーの波が初めて、そのインパクトにおいて絶大なものになると、つまり今日の仕事のやり方を抜本的に変えると思います」と述べ、具体例として、文書要約機能「Document Description Summarizer」を挙げ、AIによる生産性向上の可能性を示した。「ユーザーにとっては1分か2分ほどの時間の節減にならないかもしれません。しかし1000回例えば毎日にやったとすれば、非常に大きな意味のある時間の節減につながります」と説明し、小さな効率化の積み重ねが大きな生産性向上につながることを示唆した。

また、仕訳リスク分析や財務分析におけるAIの新機能である「Journals Risk Analyzer」などを紹介。「監査人はおそらくこの全体の作業での、その仕訳を自らのツールを使ってトレンドや異常を検出しています。ただ、そのツールをお客様には提供をあらかじめしません。この仕訳のリスク分析は今後AIによりかなり向上することが期待されます」と、AIの実用的な応用例を紹介した。これらの事例を通じて、Tucker氏はAIがCFO業務に大きな貢献を果たすと語った。

CFO組織の変革をけん引するリーダーシップと人財育成

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基調講演では、吉松加雄氏が「未来を創るCFOの役割・CFO組織と人財育成の革新 ~変革をけん引する新たなリーダーシップ~」と題した講演を行った。吉松氏は、現代のCFOに求められる役割を3つの軸によるモデルの視点から俯瞰することの重要性を説いた。その3軸とは、

  • サステナブル経営軸:持続的企業価値向上のシナリオと具体的なプロセス作り
  • 機能軸:CFO担当部門の組織体制と人財育成
  • 経営課題軸:日々新たに浮上する経営課題に適時的確に対応して迅速な解決をはかる

とした。

また日本の経営体制の中での経理財務の組織構造と、欧米のCxOの中でのCFOの位置づけの違いなども説明。欧米のCFO組織の標準モデルでは、グローバルCFOのもとにコーポレートの5つの機能の責任者が配置され、ベスト・イン・クラス・プラクテイスを実現しつつ、地域を跨いで各国まで一貫して管理している。一方で、日本企業では事業本部や事業ユニットのCFOが事業本部長や事業ユニット長に直属でレポートするケースが多い。今後、チェンジエージェントとしてCFO部門をグローバル標準のプロフェッショナル組織体制に変革する方向が望ましいと語った。

さらに、デジタル化とAI技術の進化がCFOの役割に大きな変革をもたらしていると指摘。「DXとAIを活用した経営管理など、テクノロジーを積極的に活用することで、リアルタイムなデータ分析や予測に基づいた迅速かつ的確な意思決定が可能になります」と説明し、テクノロジーを活用したCFO組織の変革の必要性を強調した。

さらに、CFO人財の育成について、「進化型T字モデル」と「守破離」という2つの概念を提示。「3年間を1サイクルとするジョブローテーションを組み合わせた具体的な育成プログラムを通じて、CFO人財の継続的な成長を促進することが重要です」と述べ、実践的なアプローチを紹介した。

講演の締めくくりとして、吉松氏は「人が仕組みを作り、仕組みが人を育てる」という好循環の重要性を強調。CFOは、変化を恐れずに新たな仕組みに挑戦し続けることで、組織全体の能力向上を図り、企業の持続的な成長に貢献していくことが期待されていると結論づけた。

本カンファレンスのテーマはCFO/CFO組織の新たな可能性を提示するもの。オープニングからキーノートで示された論点を受けて、ユーザー企業やパートナー企業、コンサルティング会社による事例セッションや財務会計の課題解決のセッションが行われた。

会場を埋め尽くした財務会計部門のリーダーや実務担当者、CFOの参加者は最後まで集中して講演に耳を傾け、最新の知見や実践的なアプローチを共有し合う貴重な機会となった。今後の企業経営におけるCFOの役割に対する期待がさらに高まり、参加者一同が新たなチャレンジに向けた強い意欲を示していた。

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