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花王が語る ESG経営を見据えた経理部門からのDX

「BeyondTheBlack TOKYO 2021」レポート

ブラックラインの年次イベント『BeyondTheBlack TOKYO 2021』が、2021年8月に2日間のオンラインイベントとして開催された。花王ビジネスアソシエで、会計サービスグループの部長を務めてきた上野 篤氏、クラウド決算サービスを提供するブラックライン代表の宮﨑 盛光の両氏が語った。

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(左より)花王ビジネスアソシエ株式会社 ビジネスサポートセンター会計サービスグループ 部長 上野 篤氏、
ブラックライン株式会社 代表取締役社長 宮﨑 盛光

取り残された領域、決算業務のDX

80年代から受発注等、取引業務の効率化やシェアードに取り組んできた花王は決算業務のDXをコロナ禍において着手した。花王が取引先も巻き込みながら実践するESG経営の取組みについて、また経理財務のDXをどう進めていくか、さらに経理メンバーの人材育成の考え方などが多彩な視点が両氏を交えたパネルディスカッションで紹介された。

まずブラックライン代表の宮﨑 盛光は、コロナ禍以降のデジタル化に対する需要について問題提起をおこなった。宮﨑によると、コロナ禍により経理の人々が決算業務を在宅で行なわなければならないという状況が生まれ、紙媒体のPDF化や押印作業を代替する手段を通じて一定程度のデジタル化が進んだものの「生産性の向上にはつながっていない」と語る。そして「決算業務は取り残された領域」だと指摘する。

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「いわゆるDXの『D』=デジタル化はある程度できていてもその上での『X』=トランスフォーメーションには行き着いてない。『X』をやりきることが生産性の向上につながると思います。日本企業の経理財務の方々は昨年のきっかけで、デジタル化に一歩踏み出されていますが、その先の『X』に行ってもらいたい」(宮﨑)

働き方改革を見据えた花王のDX領域

そして、この「X」そのものを見据えて長年に渡って志向し、取り組んできたのが花王だ。花王グループでは「現状不満足」という言葉を掲げデジタル化に取り組んできた。すでに80年代から、紙の伝票や手形を廃止し、取引先とのEDI(データ交換)がその実績だ。現在注目されているDXについても、「花王にとってはその取り組みの延長」と、花王ビジネスアソシエの上野氏は語り、「花王のDX領域」を示した。

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「受発注業務、債権債務、財務オペレーション、最後に決算、情報を開示する制度財務、これらが企業として重要なプロセスとなります。花王の経理関連のDXはこの全てからなります」(上野氏)

こうした花王のDXの目指す先にあるのが、ESGの経営を見据えた「働き方の変革」だ。リモートワークによって介護や育児中でも決算業務などの業務を行える環境づくり。これらは花王単体ではなく、ビジネスパートナーとともに作り上げていくという。そして「X」のゴールであるガバナンスのために、花王グループではブラックラインを導入した。

「ブラックラインを使うことで、決算業務にとどまらず、債権債務やキャッシュのところにつなげていきたい。データ連携によって経理財務の高度化をめざしたいと考えています」(上野氏)

プロセスを回していくためには、経理業務全体のデータの連携を図ることが重要となる。取引先・パートナーを巻き込み、間接材購買のeマーケットプレイス、業務品のFax受注削減、債権債務に直結するトランザクションなどの仕組みを構築してきたが、その取り組みはブラックラインの決算プラットフォームを導入することで、さらに加速した。

ESG経営を進めるのに欠かせない人材育成

花王の変革は、生産性を上げていくことが目的ではあるものの、それだけではない。環境負荷の軽減、育児や介護があっても働きやすい環境作り、シニア人財の活用、税務やコンプライアンスへの対応といった「ESG経営」に沿ったいくつかの指標がある。こうした経営に向けての課題となるのが人材育成だ。

その人材育成のために、花王ではブラックラインとのプロジェクトに経理部門のメンバーを投入している。「これはプロジェクトを通じて、DXの人材育成ができるからです」という。花王流の仕事のやり方に加えて、ブラックラインのようなITプラットフォーマーを通じた他社からの情報や刺激を与えることで、人材を育成するという「人材×IT」の両軸の投資を行っているのだ。

欧米企業のCFOの役割から学ぶ経理部門のあるべき姿

また経理部門のDXを牽引するCFOの役割も重要だ。ブラックラインの宮﨑は、欧米ではCFOの役割として「CEOのミッションを理解し、企業戦略を事業戦略に方向づけ、監督していくこと」という考え方を示した。その上で、「CFOが従来のスコアキーパーから未来への提言をするところにシフトしている」と語る。上野氏もまた、会計の領域でもDXはますます重要となり、「決算プラットフォームなどにより浮いた時間を会計のDXに向けてシフトさせていきたい」と意気込みを語った。

データを活用して予測するという、会計部門が担う役割は大きい。そこからさらに、DXを進めていく必要性がある。その道程はけっして平坦ではないが、ブラックラインのような決算プラットフォームの利用が、その第一歩になる可能性があることで、両氏の意見は一致した。

<スピーカー>
花王ビジネスアソシエ株式会社
ビジネスサポートセンター会計サービスグループ 部長 上野 篤 氏

ブラックライン株式会社
代表取締役社長 宮﨑 盛光

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