全てをERPで担うのはもう古い?―先進企業が取り組む経理DX基盤の潮流
今、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に取り組んでいます。その目的や内容、進捗の状況は様々ですが、2025年の崖(※1)やSAP2025年問題(※2)に対処するために、ERPのマイグレーションや既存システムからのリプレイスを核としたDXプロジェクトを推進している企業が数多くあります。そして、DXという名の通り、単なる既存プロセスの焼き直しではなく、企業の競争力と持続可能性を高めるための変革プロジェクトと位置づけられ、多くのリソース(人、お金、時間)が費やされようとしています。本記事では、経理DX成功に欠かせないシステム配置、プロジェクト推進の観点についてお伝えします。
※1:経済産業省DXレポート(2018年9月)
※2:SAP社の従来テクノロジーによるERPのメインストリームのサポートが2025年に終了することを指す。一部バージョンについては2027年まで延長されている
ERPだけじゃない、多くの企業がたどり着く解とは
一方で企業の基幹システムのアーキテクチャーを考える上で、ポストモダンERPという考え方があります。これは企業の基幹業務のすべてを1つの堅牢なERPに収めるのではなく、変化対応のスピードや柔軟性が重視される、かつ周辺業務とは緩やかな連携でよい領域をクラウドサービスで担うやり方です。これは事業環境の変化に柔軟に対応するともに、より効果的なIT投資を実現しようという狙いがあります。ERPにおいてグローバルで圧倒的なシェアを持つSAP社自身もERPを強化すると同時に、ERPの周辺に買収したクラウドサービスや自社開発したクラウドサービスを配置しています。
下図はそのイメージ図ですが、BlackLineはERPのデータだけでは完結しない“決算業務”に焦点を当て、ERPのデータ(※)と決算に必要なERP以外のデータとのハブとなって決算業務の生産性の向上に貢献しています。ERP以外のデータとは、決算業務の場合、社内システムのデータで管理される補助元帳のデータや銀行の口座情報、取引先との取引に関する証憑データ等です。
※SAP社に限らず、様々なERPシステムやERP以外の会計システムとの連携も可能です
《ポストモダンERP:イメージ図》
ERP+クラウドの併用にはこんなに沢山のメリットが!
ERPを核としたDXプロジェクトにおいて、ERPとクラウドサービスの組合せが、DXプロジェクトを推進する上で様々なメリットをもたらします。
◇プロジェクトの成果の早期刈取り(Quick Win)
100%SaaSのクラウドサービスのBlackLineはERPと比べて導入プロジェクトが短く(3か月~)、部分的とはいえ、早期に新システムの成果を享受することで、DXプロジェクトとして以下のような効果が期待できます。
- 社内、経営層に対するDXプロジェクトの早い段階での成果のアピール
- プロジェクトの初期段階からの成功体験の積み重ねによるプロジェクトメンバーのモチベーションの維持と自信の獲得
- 経理財務部門の生産性向上によるDXプロジェクトの追加リソースの創出の可能性
◇プロジェクトの先行着手による負荷分散、リスク分散(Quick Start)
BlackLineの導入をサブプロジェクトとして本体プロジェクトと連携しつつも、切り離して先行着手
することで以下のような効果が期待できます。
- 経理財務メンバーの負荷分散
- ITメンバーの負荷分散
- DXプロジェクトの負荷軽減によるプロジェクトリスクの低減
◇ERPのアドオンプログラムの代替によるコストの抑制とリスク削減(ERPのシンプル化)
ERPの標準機能だけでは実現できない、もしくは業務品質が著しく低下する業務プロセスがあり、
それがBlackLineで実現可能な場合(例.入金消込)には以下のような効果が期待できます。
- アドオン開発コストの削減
- IT部門のERP担当者の負荷軽減(開発時ならびに運用時。特にバージョンアップ時の負荷軽減)
- IT部門のリソースを、ERPのコアプロセスをより洗練されたものにすることに注力させる
DXで一歩先行く経理財務に
DXプロジェクトに限らず企業のIT投資において経理財務の優先順位は低く扱われがちです。しかし、上述の通り、ERPとBlackLineの組合せはIT部門にもメリットがあり、DXプロジェクトに様々な良い影響をもたらします。そして、そのメリットをより大きくするポイントが“先行着手“です。
経理/決算業務の高度化だけでなく、DXプロジェクトを成功裏に進めるためにも、BlackLineを活用した経理DXに少しでも早く取り組まれることを我々は強く提案いたします。
※画像引用元:X labオンラインホームページ
<ライター>