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財務・会計用語集

CFO組織


CFO組織とは何か

CFO組織とは、CFOが直接に管轄する経理財務を中心とした組織のことさす、比較的新しい言葉です。

これまでの経理財務部門は、1年間という時間軸の中で、財務会計、管理会計、資金管理、資金調達、財務リスク管理など、企業のお金や計数と、それに関連するリスク管理を行うことを主な業務としてきましたが、近年では、IRのような株主とのエンゲージメントや、FP&Aやそのベースとなるスキルのひとつであるコーポレートファイナンスのような、より中長期的な視点での計数管理や意思決定支援、資金管理、リスク管理など、これまでの経理財務部門の範疇を越える機能が企業経営において新たに重要視されるようになり、それに伴い、経理財務部門の機能の強化や、新たな部署の設置(例.IR室)など、CFOが直接に管轄する業務領域や組織が拡大していることが、この呼称が生まれた背景としてあります。

CFO組織の役割

CFO組織のミッションは企業価値の最大化です。徳成旨亮氏の「CFO思考」という本の中に、CFOの役割を「アニマルスピリッツ(※1)をCEOなど他の経営陣と共有し、数値をベースにした冷静な判断力を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジン」とありますが、CFOがこの役割を全うできるようCFOを支え、事業部門を支え、時にはリードすることがCFO組織の役割です。

その役割を果たすためにCFO組織で中心となる機能が5つあります。一部の機能については、まだ日本企業では弱い部分もありますが、欧米のグローバル企業のCFO組織はおおむね以下の5つの機能を備えています。

  1. 経理(Accounting)
    企業の活動(人、モノ、カネの動き)を計数的に記録、集計し、株主などのステークホルダーに報告する業務で、代表的な業務に決算があり、いわゆる財務会計といわれる業務がこれに該当し、正確性と完全性が最も重視されます。経営者や事業部門のリーダーに対する業績報告という点では管理会計(Controlling)も経理業務に含まれますが、FP&Aを導入する企業では、管理会計はFP&Aの一機能として捉える場合もあります。
  2. 財務(Treasury)
    資金計画、資金管理、資金調達、資金運用、為替管理などの直接的にキャッシュを管理する業務ですが、これまでの1年以内の比較的短期のキャッシュマネジメントに係る業務に加えて、中長期的な視点でのコーポレートファイナンスやグローバルレベルでの財務リスク管理も重要視されています。
  3. 税務戦略(Tax Compliance & Planning)
    これまで日本で税務と言えば、経理部門の仕事のひとつとして正しく申告することに重きが置かれていましたが、税金を管理可能な「税務コスト」として積極的に捉え、特にグローバル企業では、税務業務をグループ全体のテーマとして捉え、戦略的に進めることで、キャッシュフローを最大化し、経営戦略の実効性を高め、企業価値の増大に貢献することを目的にしています。
  4. FP&A(Financial Planning & Analysis)(※2)
    会計や財務の専門知識や経験をバックグラウンドに持ち、CEOや事業部門の意思決定を支えるビジネスパートナーのことを指します。従来の会計の役割が企業の業績を早く正確に報告するという、どちらかと言えば過去の情報を扱う側面が大きいのに対し、FP&Aは、Financial Planning(財務モデルを通じた事業計画)、Analysis(財務分析)という名の通り、企業の財務的目標を達成するために、現状や将来の見通しについて分析を行い、それを経営者や事業部門フィードバックし、事業セイン略の立案をサポートするとともに、財務目標達成の事業計画を定量的に創り上げる仕事で、将来の目標に向けて企業を導く“経営の羅針盤“のような仕事と言えます。
  5. IR(Investor Relations)
    企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動をIRといいます。過去、日本企業では銀行からの借入中心の間接金融や株式の持ち合いなどもあり、株式市場に対する情報発信はあまり積極的とは言えませんでしたが、1990年代のバブルの崩壊やその後の金融危機などもあり、株式市場からの資金調達(直接金融)の重要性が高まり、さらに近年では株式市場における外国人や外国の機関投資家などのウェイトは増しており、IR活動は企業価値を向上させる上で重要な役割を果たすようになっています。


※1:経済学者のケインズが1936年の著作『雇用・利子および貨幣の一般理論』で用いた用語で、経済活動にしばしば見られる主観的で非合理的な動機や行動を指す言葉。経済活動はデータに基づく数学的な合理性に則って決定され実行されることが多いが、現実には不確実な状況の中で感情的な期待にも左右されるものであり、不確実な状況下を切り抜ける企業の経済活動の原動力になるものとして注目されている。

※2:関連ブログ:日本企業がFP&A機能を強化するために

CFO組織の課題

CFO組織に対する期待がますます高くなる一方で、その役割を果たすために解決すべき課題が大小さまざまに存在しています。

1. 人材の確保、育成

CFO組織が企業戦略やM&Aなどの大きな投資を計数的にシビアに評価し、ビジネスパートナーとして意思決定に参画するためには、それに資するスキルと経験を持った人材を育成する必要があります。また、グローバルレベルでのタックスプランニングのような高度な専門知識を要する人材も必要になります。
また、従来から担っている経理財務の領域においてはミドルクラスの人材の流動化という新しい課題にも対処しなければなりません。

2. データの整備

例えば、「ワールドクラスの経営」という本では、グローバルに結果を出し続ける企業(=ワールドクラスの経営を行う企業)の条件のひとつに「海外子会社も含め、どの口座にどの通貨でいくらキャッシュがあるかをリアルタイムに把握できる」というのがありますが、残念ながら日本企業でこの条件に該当する企業はごくわずかです。
グループ各社のシステムがバラバラで、グループの経営情報として活用するために、システム間のデータの違いを人手によって調整し、数字をまとめることにかなりの時間を費やしています。そのため、CFO組織がデータドリブンの経営をリードするにも情報の精度も鮮度も十分とはいえず、また、データを活かして経営層や事業部門のリーダーにインサイトを提供する時間的余裕も十分とはいえません。

3. デジタル化

1, 2の課題を解決する上で最も有効な手段のひとつがデジタル化です。日本企業はこれまで経理財務などのコーポレート機能のデジタル投資には積極的とは言えませんでしたが、デジタル化の推進によって

  • 可能なかぎり“手作業”を削減し、より付加価値の高い業務にリソースをシフトする
  • グループ各社のデータを標準化する
  • 先進的で“魅力のある“オペレーションモデルを確立する


ことが求められています。

その実現は容易なことではありません。欧米の先進企業は経営上の最優先すべきテーマのひとつとして、長い時間と労力とコストをかけて、これらを実現し、継続して改善に取り組んでいます。幸い、デジタル化を推進する上で後発の日本企業にとっては

  • 参照できるゴールの形やオペレーションモデルがある
  • ゴールに至る行程も参照できる
  • テクノロジーの進歩によって、従来の仕組みよりも良いものが、従来よりも安価に手に入る


といった後発者の利益があります。

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