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財務・会計用語集

ファイナンシャルオペレーショントランスフォーメーション(Financial Operations Transformation)

ファイナンシャルオペレーショントランスフォーメーションとは?

今日の予測不能な世界において、経理財務部門が経営の羅針盤としての役割を十二分に発揮するためには、現状の業務プロセスやオペレーションを大きく変える必要があります。経理人材の流動性の高まり、日本における労働人口の減少などの状況下において、スプレッドシートや手作業に多くを依存し、人が一か所に集まって仕事をすることを前提とした仕事の進め方は、もはや持続可能ではないことはすでに経理財務の現場では認識され始めていましたが、新型コロナの感染拡大によって一気に顕在化しました。

こうした先の読めない経営環境の変化に機敏に対応し、ビジネスパートナーとして経営者と伴走し、経営の舵取りをサポートする経理財務部門であるための業務変革のことをファイナンシャルオペレーショントランスフォーメーションと言います。

ファイナンシャルオペレーショントランスフォーメーションの目指す姿

下図の左の三角形は経理財務部門の現状を表し、右の逆三角形が目指すべき姿を表しています。3つのレイヤーのどれもが企業が活動する上で重要な役割を果たしており、上に行くほど企業競争力に直結する付加価値の高い業務と言えますが、残念ながら多くの経理財務部門は足許の業務に忙殺され、この領域に多くのリソースを割くことができていません。しかし、前述の通り、今、企業経営者や株主、そこで働く従業員も、右側の未来志向型の組織、レジリエントな経理財務部門を求めています。

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ファイナンシャルオペレーショントランスフォーメンションの構成要素

ファイナンシャルオペレーショントランスフォーメンションの構成要素は大きくは3つあります。

<オペレーションモデル>
大きなレイヤーでは経理財務部門の機能配置のデザインがあります。シェアードサービスの導入やBPOの活用。日本では言語の問題でハードルが高いですが、グローバルシェアードサービスという選択肢もあります。コーポレート組織としての経理財務部門の機能の強化、事業部門の中での経理財務組織(人)の配置、グループレベルでの財務戦略、税務戦略の強化なども考えられます。細かいレイヤーでは業務フローやタスクの実施手段の検討などがありますが、この領域ではデジタルテクノロジーが大きく関わってきます。

<デジタルテクノロジー>
経理財務部門のリソースを未来志向型の経理財務部門の逆三角形にシフトさせるためには、デジタルテクノロジーを活用した業務変革が必要です。スコアキーパーの領域は徹底したデジタル化が必須ですし、グループ/グローバルレベルで内部統制の強化、財務戦略、税務戦略の強化にもデジタルソリューションの活用は欠かせません。また、逆三角形のすべての領域において、今後、AIが活躍する場面が増えることも予想されます。

<人材>
デジタルテクノロジーを活用した新しいオペレーションモデルに移行(トランスフォーム)するためには、まず経営者だけでなく現場の従業員にも意識改革が必要です。そして、デジタルテクノロジーを使いこなすスキル、グローバルレベルでの財務戦略や税務戦略に必要なスキルなどを備えるための人材の育成、人材の獲得が求められます。デジタルテクノロジーとの関連で言えば、足許の業務に忙殺される経理財務の現場において効果的な人材育成を行うためには、現行業務のデジタル化による圧倒的な効率化が必要です。また、デジタル化され、洗練されたオペレーションは従業員のワークエンゲージメントの向上にも寄与し、外部人材を獲得する上でも有効です。

ファイナンシャルオペレーショントランスフォーメーションに関連する用語

モダンアカウンティング
モダンアカウンティングとは、デジタルテクノロジーを活用して、従来の会計システムや会計手法を変革した会計処理のことを指します。“オートメーション”、“コンティニュアスアカウンティング”、“グループ全体の会計プロセスとデータの一元管理”の3つの要素で、手作業に大きく依存する経理業務を改善・改革します。モダンアカウンティングは、経理財務部門のリソースをスコアキーパーからビジネスパートナーへとシフトさせ、企業競争力の強化と従業員満足度の向上に貢献します。

コンティニュアスアカウンティング
デジタルテクノロジーを駆使して企業の財務活動のすべてを記録し、モニタリングを行う最新のプロセスです。あらゆる会計処理が、決算を待たずリアルタイムで継続的に行われます。これにより、経営者は従来の決算期における固定的なスケジュールと比べて、企業の日常的な活動をリアルタイムで把握でき、経理担当者は決算期に集中していた高負荷な業務が平準化されます。

アカウンティングオートメーション
アカウンティングオートメーションは、デジタルテクノロジーを活用し、企業の会計帳簿や決算書の記録・作成などを自動で実行することを指します。これらの作業の自動化によって、作業によるデータ入力や煩雑なスプレッドシートの必要性を最小限に抑え、会計処理にかかる時間や労力、コストが大幅に削減されます。また、効率性と正確性が高まり、経理担当者はより高度な業務や戦略的な活動に時間を費やすことができます。

・ファイナンシャルオペレーションプラットフォーム(Financial Operation Platform)
経理財務のオペレーションレベルでの標準化と関連情報の一元管理によって、経理財務の業務の生産性を向上させ、ガバナンスを強化するクラウドサービスです。2000年以降、多くの日本企業でERPシステムが導入され、販売管理や在庫管理のモジュールなども含めた基幹システムとして導入した企業では、業務データと会計データがトランザクションレベルでリアルタイムに統合し、会計データの入手スピードと精度が大きく向上しました。ERPシステムを親会社だけでなくグループ会社にも広く導入した企業では、グループの会計データの標準化が促進され、連結決算の早期化や連結経営情報の精度向上に一定の成果を上げることができました。

それでも、多くの日本企業の経理の現場ではExcelを多用した手作業への依存度は高く、決算期間中の長時間残業も解消されませんでした。ファイナンシャルオペレーションプラットフォームは、そうした経理財務の現場に残るオペレーションレベルでの課題を解決するために、会計システムやERPシステムを補完するものとして開発されました。

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