コンティニュアスアカウンティング(継続決算)
コンティニュアスアカウンティングとは?
コンティニュアスアカウンティングとは、デジタル技術を駆使して企業の財務活動のすべてを記録し、モニタリングを行う最新のプロセスです。あらゆる会計処理が、決算を待たずリアルタイムで継続的に行われます。これにより、経営者は従来の決算期における固定的なスケジュールと比べて、企業の日常的な活動をリアルタイムで把握できます。
経理業務には、会計基準に基づき実施される無数の手順や処理が含まれます。基本的な処理もあれば、複雑な処理もあります。従来の経理業務では、紙の書類をもとに手作業で会計システムに起票を行った後、入力ミスがないか起票した結果の確認を行います。こうした単調な手作業による経理処理には時間がかかります。コンピュータやソフトウェア、スプレッドシートが誕生してからも、経理業務の速度は従来と変わっていません。
また経理業務には基本的に決まったスケジュールがあり、月次、四半期毎、年次など定期的に処理されます。このサイクルを終えることを決算と言い、期間中に発生したすべての取引の記録と仕訳の起票を確定させます。コンティニュアスアカウンティングでは、この決算のサイクルを待つことなく処理を進めることができます。デジタル技術で互いに連携した最新の統合ソフトウェアプラットフォームの登場により、企業は、必要な全ての経理処理を人間の手作業によることなく自動的に処理することができます。
その結果、経営者は、仕訳の自動起票や自動照合した結果作成された財務諸表を決算時だけでなく、いつでも好きな時に確認することができます
コンティニュアスアカウンティングはどんな仕組みで実施されるか?
コンティニュアスアカウンティングは、会計処理の自動化によって可能になり、コンピュータ会計とも呼ばれ、財務活動を記録するプロセスに含まれる基本的な機能をシステムを使って実行することを指します。デジタル技術によって、データの手入力や煩雑なエクセル関数の利用を減らし、場合によってはゼロにすることができます。また、システムが、データの補足と元帳への入力、差異の照合、記録の更新、報告書や財務諸表の作成といった基本的なタスクを実行します。
会計処理の自動化とコンティニュアスアカウンティングは、会計領域における以下の技術的進歩があって初めて実現します。
- 人工知能(AI):領収書や請求書をもとにした買掛金金の仕入仕訳などのデータの入力や照合といった会計タスクを実行し、経費精算の過程で企業のポリシーが遵守されているかチェックすることができます。
- クラウドコンピューティング:インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供することで、会計処理の自動化とコンティニュアスアカウンティングをサポートし、各種のアプリケーションとデータソースをシームレスに連動、およびチームの業務を統合できます。
- データ入力のデジタル化:経理処理の基本的なステップであるデータ入力のデジタル化によって、コンティニュアスアカウンティングが可能になります。領収書、請求書、支払手形、経費報告書などの出所が異なる情報をコンピュータで把握し、一元的なデータベースに入力することができます。
- 機械学習:データ、ルール、アルゴリズムを処理することで、コンピュータが人間と同じように学習するようプログラムするプロセスです。予測と意思決定によって、プログラムは処理効率を改善することができます。リアルタイムの統合により、情報の入力と処理に必要な時間を大幅に短縮できます。複数のプログラムが連動することで、ほぼ即座に情報を処理し適用できるからです。
- ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA):並べ替え、データ挿入、フォーム入力、文字やデータの解釈といった反復作業を実行する自動処理法です。
どのようにコンティニュアスアカウンティングを実施するのか?
コンティニュアスアカウンティングを実施するには、企業のITシステムを変更する必要があります。また、その前提として、ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)システムとそれを補完する決算業務を管理するシステムの導入が求められます。
ERPは通常システム化された統合的なビジネスプロセス管理手法のことです。このERPシステムを使って、企業は多種多様な業務から生じるデータの収集・保管・管理・解釈に対し、一律の標準的手法を採用することで、オペレーションを包括的に管理することができます。
こうした全体的な目標を支援するため個々の組織レベルでは、社内の全取引を標準的なデータ入力プロトコルに従って会計処理を実施する必要があります。会計帳簿にデータを入力する際に同一の指針に従えば、ミスや差異が減り、データの質が向上し、処理時間を大幅に短縮できます。一貫性あるデータ入力を進めるためには、請求書、注文書、その他全ての取引文書を含む、取引情報をデジタル化して電子的に収集すべきです。そうすることで、これらの文書上の情報を一元的なデータベースシステムに入力しやすくなります。
しかしながら、現実には企業は多くの部署を抱え、様々なシステムを使用しています。販売、調達、経費精算固定資産管理システムなど、組織によって異なるシステムを採用している場合、異なるシステムで管理されているデータとERPのデータを照合するなど決算プロセスにおける必要な手順が増え、ミスや差異が生じやすくなってしまいます。この決算領域においてデジタル技術を活用することでより合理的で包括的なプロセスに実現し、コンティニュアスアカウンティングを可能にします。
FAQ(よくある質問)
コンティニュアスアカウンティングにはどのようなメリットがあるのですか?
スプレッドシートを使った手作業や紙ベースのシステムから、完全に自動化されたデジタル方式へ、経理システムを移行することのメリットを企業や組織が理解するにつれて、会計処理の自動化が普及しつつあります。
コンティニュアスアカウンティングは、多くの形で企業にメリットをもたらします。経理処理を合理化すれば、処理時間の削減と精度向上を通じて企業の競争力が高まるだけでなく、効率性が高まり、スタッフの負担も軽減します。また、より高度なタスクや分析に時間をかけられるようになります。
さらに、厳密な会計サイクルに従う必要性が減るため、ビジネスの柔軟性が高まり活性化し、速度が上がるだけでなく、資金管理・照合処理の効率化により、キャッシュフローを増やすことも可能です。経営陣も、リアルタイムな情報に基づき重要な判断を下しやすくなります。