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財務・会計用語集

売掛金年齢表


売掛金年齢表(エイジングレポート)とは何か

売掛金年齢表は、取引先ごとの売掛金の残高を売上日や入金期限日を基準にして、どれくらい月日が経過しているかを管理する帳票で、売掛金の滞留期間の状況を一覧で確認することができます。

売掛金とは商品やサービスを後払いによる取引で販売し(信用販売)、まだ代金の支払を受けていない権利のことを指し、すべて現金販売で取引を行う場合を除く、ほとんどの企業が一定額の売掛金を有しています。

顧客は、商品やサービスの代金を取引の時点で支払う代わりに、取引の際に支払の猶予期間を設定し、将来のある時点でその取引の代金を支払います。この猶予期間は支払サイトあるいは回収サイトと呼ばれます。

全ての売掛金が期間内に滞りなく回収されることが望ましいですが、必ずしもそうなるとは限らず、受け取った商品やサービスの代金を顧客に確実に支払ってもらうために、企業は売掛金の回収業務を行います。

企業は顧客から納期通りに確実に販売代金を回収するために、回収業務の中で様々な措置を講じる必要があり、そうすることで、企業は支払期限を過ぎた売掛金(滞留債権)を最小限にとどめることができます。

回収業務を始めるにあたり、まず売掛金を評価する必要があり、この評価の参考情報として、売掛金年齢表を作成します。

売掛金年齢表を使ってどんな情報を得ることができるか

売掛金年齢表は売掛金を滞留期間別にまとめており、滞留期間の一般的な分類は次の通りです。
・0~30日
・31~60日
・61~90日
・90日以上

売掛金の全体的な評価を行う場合、各分類の日数には顧客に請求書を発行してからの経過日数を用いますが、支払期日を超過した滞留債権の状況把握に特化した場合は、支払期日からの超過日数で分類する場合もあります。

<売掛金年齢表の一般的な形式>
aging report.png

売掛金年齢表はどんな場面で使用されるか?

売掛金年齢表は企業にとって欠かせない資料であり、極めて重要な機能を果たします。

  1. 売掛金年齢表で売掛金を滞留期間別に分類することで経理担当者は売掛金の評価を行い、どの売掛金の回収を優先すべきか、滞留期間に応じてどの回収手段を用いるべきかを判断できます。
  2. 売掛金年齢表は、売上をどの程度効果的に現金化されているかを評価するための貴重な情報を経営層に提供します。この評価では、企業の与信管理規定や期日を過ぎた支払の回収手順を検討します。
  3. 売掛金年齢表は、潜在的な不良債権を推定する手段としても使用され、貸倒引当金の算出にも用いられます。企業は売掛金年齢表を用いて売掛金の標準的な滞留期間と償却額を把握することで、不良債権の推定額を算出することができます。また、費用収益対応の原則に従い、企業は想定される不良債権や貸倒れに対する引当金を計上して、不良債権を償却します。この引当金は、売上債権と相殺される資産の控除科目として貸借対照表の借方に掲載されます。


売掛金年齢表はなぜ重要か

上述の通り、売掛金年齢表は売掛金を効率的に回収する上で重要な役割を果たします。

企業が事業を行うためにはキャッシュが必要です。そして、事業を継続させる上で最も重要な資金源は本業による儲け(営業キャッシュフロー)であり、事業で売上を計上し、売掛金を回収することで手許にキャッシュを得ることができます。

利益率の高い商品やサービスを提供することで、キャッシュを多く得ることができますが、同じ利益率、同じ売上高でも、受注から入金までのサイクル(Order to Cash:以下、O2C)を効率的に運用することでキャッシュポジションを高めることができます。逆にO2Cのプロセスが不効率な場合、キャッシュポジションが悪化し、最悪の場合、黒字倒産を招く恐れもあります。

このO2Cのプロセスにおいて経理部門が中心となって関与するのが、日々の売掛金の管理と入金消込であり、売掛金年齢表は前述の通り、売掛金を適切に管理し、売掛金の貸倒れリスクの抑制と、効果的で効率的な売掛金の回収プロセスを行う上で重要な役割を果たします。

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