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財務・会計用語集

入金消込

<目次>
入金消込とは何か
入金消込はなぜ大変か
入金消込の自動化のポイント
入金消込の関連用語

入金消込とは何か

入金消込とは、取引先からの入金があった際に、売掛金や未収入金などの債権残高と照合し、適切な明細と相殺する処理です。
業種によって差はありますが、一般的に売掛金の入金消込は煩雑な業務です。特に日本企業の場合、複数の取引を集約して月末にまとめて支払うという商習慣や、銀行の振込データの情報が少ないなどの事情から、ソフトウェアを使った消込処理の自動化が難しく、売掛金の入金消込の効率化は、多くの経理財務部門にとって大きな課題となっています。

入金消込はなぜ大変か

入金消込が大変な理由は大きく以下の4点があげられます。
・ボリュームが大きい
・短期間で処理しなければならない
・取引金額が全額入金されるとは限らない
・自動化が難しい

①ボリュームが大きい
通常、売掛金などの営業債権の入金消込は処理するデータの件数も金額も、経理部門の他の業務と比べて最も多い部類に入ります。そして、後述する理由でシステムによる自動化が難しく、多くの場合、Excelを用いた手作業によって行われます。部分的に自動化している企業もありますが、自動化されなかったデータの件数だけでも決して少ないとは言えない件数のデータを手作業で処理しなければいけません。

②短期間で処理しなければならない
日本の商習慣では売掛金の入金は月末月初に集中します。一方で月が締まれば、経理部門は、すぐに決算に取り掛かるため、悠長に入金消込を行う余裕はありません。
また、何等かの理由で債権との消込が出来なかった場合、入金された現預金は、いったん仮受金などの仮勘定で処理されますが、決算時に仮勘定の残高が残ることは、詳細不明な取引が存在していることを意味しており、財務諸表の信頼性を損ねる恐れもあり、担当者には大きなプレッシャーがかかります。

③取引金額が全額入金されるとは限らない
債権の金額が全額ではなく、一部のみ支払われる場合があります。分割払いや手形払いの他、小売りのビジネスでは販売奨励金などのリベートの控除などもあります。建設工事では前受金を予め受注先から受け取る場合があり、工事や開発が完了した時点で残額が支払われます。

④自動化が難しい
②や③で記載の通り、債権明細と入金明細を単に1:1で突合させるだけでは金額が一致しない取引は少なくありません。支払日も必ずしも期日通りに支払われるとは限りません。さらに、債権の補助元帳に記載している取引先の名称と銀行の入金明細の名義人が微妙に異なる場合もあります(読み仮名の濁点の有無や後株前株の違いなど)。
また、銀行の入金明細も従来の日本の全銀協のフォーマットは海外の銀行のフォーマットのように突合のキーとなる情報を多く保持することができないということも、入金消込の自動化を妨げる要因となっていますが、この点に関しては2018年に稼働した全銀EDIシステム(ZEDI)の普及に大きな期待がかかります。
※参考:欧米と乖離ある明細突合ー入金消込の自動化率を下げる日本固有の課題

入金消込の自動化のポイント

システムを使って入金消込を自動化するポイントは大きく以下の3つに分類されます。
・データの整備
・柔軟な突合エンジン
・突合の後工程のデジタル化

①データの整備
入金消込を自動化するためには、債権データと入金データを突合させるためのキーとなる情報をそれぞれのデータに保持させることが必要です。ZEDIによって入金データに注文番号や請求番号などを保持することが可能になりましたが、実際に保持させるためには、取引先に対して銀行への振込データに注文番号などの情報を付加してもらう必要があります。

②柔軟な突合エンジン
突合エンジンには、次のようなきめの細かいルールの設定が求められます。
・1:1だけでなく、1:NやM:Nの突合も可能
・振込手数料のような一定金額内の差額は許容範囲として認める
・一定期間内の日付のズレを許容範囲として認める
・取引先名と振込名義人の名称の部分一致等による名寄せが可能
・注文番号や請求番号の部分一致を許容する
また、システム稼働時にすべてのルールを網羅することは難しいため、運用を進めながら実務担当者がルールの精度を上げることができる設定変更の柔軟性も必要です。

③突合の後工程のデジタル化
突合処理で完全一致のデータは入金消込の仕訳データを自動生成し、会計システムに自動連携させることに加えて、部分一致のデータについては担当者や上長による判断のステップを加味した電子承認のプロセスが必要です。
また、不一致と判断されたデータについては関係者に対する調査依頼のプロセスをワークフローとしてシステムに載せることで、調査の顛末をシステムで一元管理します。

入金消込の関連用語

・売掛金
売掛金とは、顧客に商品やサービスを販売した対価として、将来的に金銭を受け取る権利 を指します。企業は支払までの猶予期間を設定し、取引後のどこかの時点でその代金を受け取ります。受け取った代金は売掛金残高と照合し、該当する売掛金の明細を消し込みます。

・仮受金
取引先から入金があったものの、その入金が債権のどの明細に該当するのか判断する情報が不足している場合に、いったん仮受金として計上します。この場合、取引先や担当営業に問合せし、該当する請求書等を確認した上で、然るべき勘定科目へ振替えます。

・請求書
企業が提供する商品やサービスに伴い、必ず請求書が発行され、請求書は、顧客に支払額と支払対象となる商品やサービスの内容を伝えます。請求書は、それ以外にも受取人名義、送金先、支払期日などの重要な情報を顧客に伝えます。
請求書の情報は、どこからの入金かを企業が確認する上で役立つため、入金消込で重要になります。

・送金
送金は、顧客が受け取った商品やサービスの対価の金銭を相手先に送ることで、銀行振込のほか、現金や小切手の送付も送金に該当しますが、一般的には銀行などの金融機関を通じて相手先に支払う「振込」を指します。

・支払条件
支払条件は、商品やサービスの代金の支払方法や支払期日などの代金の支払いに関する取引の条件を指す言葉で、現金や小切手、手形による支払、金融機関への振込などの支払方法や、翌月末払いや翌々月払いなどの支払期日、利息の有無などの事項が含まれます。
支払条件にはそれらの組み合わせによって様々な種類があり、支払条件の決定は、扱う商品、企業と相手先との関係性、購入量、信用枠の有無など、数多くの要因に左右されます。

・ZEDI(全銀EDIシステム)
ZEDI(全銀EDIシステム)とは、全国銀行協会が構築した金融EDIシステムのことで、従来の全銀フォーマットと異なり、銀行の入出金の明細データに支払い通知番号、請求書番号などの情報を保持すること可能になっているため、入金消込などの経理業の大幅な効率化が期待されています。

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