支払条件
支払条件とは何か
支払条件は、商品やサービスの代金の支払方法や支払期日などの代金の支払いに関する取引の条件を指す言葉で、企業が顧客と取引を行う販売取引と、企業が仕入先と取引を行う仕入取引の両方に関連し、企業のキャッシュフローに影響を与える非常に重要な取決めです。
販売する側では入金条件と言う場合もあります。
支払条件には現金や小切手、手形による支払、金融機関への振込などの支払方法や、翌月末払いや翌々月払いなどの支払期日、利息の有無などの事項が含まれます。
支払条件にはそれらの組み合わせによって様々な種類があり、支払条件の決定は、扱う商品、企業と相手先との関係性、購入量、信用枠の有無など、数多くの要因に左右されます。
支払条件は支払の義務を確実に履行してもらう(履行する)ために、取引を始める前に双方が合意のもと、予め決めておく必要があります。特に、通常の取引とは異なる支払条件を適用する場合や、企業を一定のリスクにさらす可能性がある信用供与を伴った支払条件を適用する場合などは、支払条件を事前に細かく定めるとともに、社内の複数の関連部署による厳格なチェックを行うことが重要です。
支払条件の具体的な内容
支払条件が記載される書類は企業によって若干の違いはありますが、一般的には次のような書類に記載されます。
- 見積書
- 契約書
- 発注書
- 請求書
支払条件の基本的な項目として、以下の2つがあります。
支払方法
基本的な支払方法として、現金、小切手、手形、金融機関の口座への振込があります。近年では手形に代わる支払方法として電子記録債権も一般化しつつあります。
支払期日
支払期日には主に以下の4つの種類があります。
・期日指定
・納品後、XX日以内
・月末締め、翌月払い(または翌々月払い)
・契約時(注文時)に一部もしくは全額前払い・納品後に残金支払い
その他、期日より早く支払う場合の割引の有無や、支払が遅延した場合の延滞料の有無、それぞれの計算方法なども取引決め事項のひとつです。
また、企業間において、お互いに販売と仕入の両方の取引ある場合に、両社の合意のもとで売掛金と買掛金を相殺し、残額を振込む方法もあります。
貿易取引の場合は、信用状(L/C:銀行が作成する支払い確約書)によるL/C決済が最も多く適用され、条件によっては荷為替手形による決済が行われる場合もあります。
顧客が個人の場合にはクレジット払いや決済代行会社を経由した支払いなどもあります。
支払条件はなぜ重要か
支払条件は、企業のキャッシュフローに影響を与える重要な取決めです。販売取引での支払期日が必要以上に長いと、企業のキャッシュフローは滞ります。同様に、仕入取引での支払期日が必要以上に短いと、企業の手持ち資金が枯渇するリスクが高まります。
特に販売側の企業においては、適切な支払条件を設定することに加えて、
- 与信管理の基準やルールの設定と運用の徹底
- 日々の売上債権の管理
- 効率的な回収処理
を行うことで、売上債権の回収リスクの適正化し、貸倒れを最小限に抑えることが重要です。
※関連用語:
・与信管理
・回収管理
・Order to Cash (O2C)
・入金消込
誰が支払条件を決めるか
支払条件は売主と買主の双方合意のもとに決めるのが原則ですが、一般的に、商品やサービスを提供する企業側が支払条件を提示し、その条件を見積書や発注書、請求書などに記載します。なお、下請企業に対する支払い方法については、下請代金支払遅延等防止法(通称、下請法)によって、
- 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること
- 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること
などの制限があるので、注意が必要です。
※下請企業とは:
自社よりも資本金又は従業員数の 大きい他の法人から、製品・部品等の製造・加工や、発注企業が他社に提供する役務等を受託している中小企業(下請中小企業振興法)。
※下請法の目的:
下請代金の支払遅延等を防止することによって,親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに,下請事業者の利益を保護し,もつて国民経済の健全な発達に寄与すること(下請法第一条)。