経理の属人化を早期解消する方法とは
多くの企業の経理財務部門のほとんどの方が改善すべき課題として「属人化」を挙げられます。
属人化とは、ある業務を特定の人が担当し、その人なければ業務の手順や状況がわからない状態のことを意味しますが、コロナ禍の出社制限で業務が属人化されていることの問題点が顕著になりました。
また、近年の経理人材の流動性(他部署への異動や転職)の高まりで、ナレッジやノウハウの流出という点において属人化が大きなリスクとして認識されていますし、経理DXを推進して経理業務を大幅に効率化し、経理財務部門の経営管理機能を強化する上でも、属人化は足かせとなっています
経理業務はなぜ属人化しやすいか
属人化とは、ある業務を特定の人が担当し、その人なければ業務の手順や状況がわからない状態のことを意味します。属人化の対義語は「標準化」です。業務を標準化すれば、属人化を抑えることができます。
しかし、経理業務には標準化を阻む以下のような特徴や現状があります。
・高い専門性が求められる業務が多く、人が固定化しやすい
・スピードと精度の両立のため、職人技に依存しやすい
・関係各所とのコミュニケーションが多い
・紙の資料や押印作業が多く残っている
・必要な情報がいろいろな形でいろいろな場所に散在している
(キャビネ、共有サーバ、ローカルPC、前任者の記憶、等)
・現業をこなすのに精一杯で、標準化に取組む余裕が現場にない
経理業務の標準化のポイント
では、どうすれば、経理業務の標準化を進めることができるか、そのポイントを以下にまとめてみました。
自己流の領域を減らす -共通化する領域と専門性を発揮する領域を区分-
情報をまとめるプロセス(業務手順や手続き)は共通化し、組織として改善活動を進める。そして、情報の活かし方に職人技(会計規則や税務などの高度な専門知識、経験の蓄積や創意工夫)を発揮する。情報の活かし方においても、情報の組み合わせや経験に基づくしきい値(勘)などのノウハウをできるだけ明文化する。
情報を共有し、共有した情報へのアクセシビリティを高める
ペーパーレスは必須。ただし、ペーパーレスを推進する際に、単に電子化して一か所に保存するのではなく、業務プロセスや仕訳データと、関連するドキュメントやファイルを紐づけた形で一元管理することで、効率的に情報を再利用できるようにする。
コミュニケーションにかかる時間とコストを削減する
上述の情報の一元管理に加えて、業務プロセスやワークフローをデジタル化することで、業務の進捗状況やコミュニケーション内容が可視化し、部署内のメンバーや監査人等の外部を含めた関係者間でのコミュニケーションにかかる時間とコスト時間を削減する。これは2と併せ、内部統制が担保されたリモートワーク環境を構築する上でも必須。
マニュアル作業は可能な限り自動化を進める
マニュアル作業の自動化によって現場の負荷を軽減し、会計や税務の専門知識の深耕や業務プロセスの改善活動(標準化のブラッシュアップ)に取り組む余力を創出する。また、自動化によって業務の迅速化と精度向上といった効果も期待できる。
デジタルを活用した属人化解消の早期実現と事例
BlackLineは経理財務部門のオペレーションと情報共有のプラットフォームとして、経理業務の標準化を促進し、属人化を早期に解消するために様々な機能を用意しています。下図はその一例となります。
また、BlackLineの導入手法にDCAPというのがあります。業務改善や品質管理の手法であるPDCAのサイクルに対して、DCAPでは、まずは現状プロセスをシステムにのせ(Do)、課題やボトルネックの可視化します。次に課題の改善方法を検討し(Check)、課題の解消策をシステムへ反映させ(Action)、新しいプロセスでの業務のスケジュールや人員配置を計画します(Plan)。そして、新しいプロセスで業務を実行(Do)したら、さらなる課題の可視化と改善(Check~)という次のサイクルが始まります。これがDCPAのサイクルです。
日常業務をこなすのに精一杯の中で月に数回集まって机上で議論するだけでは、なかなか標準化の検討は進みませんが、関係者全員からよく見えるクラウド上に業務プロセスを構築して、情報を一元管理すると、構築すべき対象が明確になり、業務プロセスの変化もすぐに実感することができるので、前向きに取り組みやすくなります。
以下にBlackLineを活用し、経理業務の標準化を進めているお客様の中から代表的な事例をご紹介しますので、ぜひリンク先でその詳細をご覧ください。
属人化を解消した先にあるもの
業務プロセスのデジタル化の活用は早期に業務を標準化し、属人性を解消する上で非常に有効な手段ですが、デジタルを活用し業務の標準化と自動化を進めることは、下図のように経理財務が今もっとも期待されている役割(経理財務の専門性を発揮して、会社や事業の先行きを照らす)にシフトする上でも必要不可欠です。
属人化は、経理財務部門にとってすぐにでも解消すべき喫緊の課題です。すぐにでも属人化の解消に着手し、さらにその先にある「経理財務部門のあるべき姿」を目指すことが、今の経理財務部門には求められています。
デジタルを活用したDCAPサイクルで、効率的で効果的な経理業務の変革プロセスの第一歩を踏み出しましょう。弊社はその実現を強力にサポートいたします。ぜひ、お問い合わせ下さい。
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