ジョイントベンチャー(JV)
ジョイントベンチャーとは何か?
ジョイントベンチャー(Joint Venture:JV)とは、複数の企業が互いに出資し、新しい会社を立ち上げて事業を行うことを指します。合弁企業(事業)、共同企業体などということもあり、大規模な建設工事などでよく見られる事業形態ですが、最近では大手企業とスタートアップ企業の組み合わせによるジョイントベンチャーも目にするようになりました。
ジョイントベンチャーの目的は何か?
ジョイントベンチャーの目的は、双方の企業が持つ資金や人材、技術、ノウハウ、ブランド力などを共有して事業を行うことで、新たな価値を生む出すことにあります。前述の大手企業とスタートアップの組み合わせでは、スタートアップは技術や知的財産、大手企業は豊富な販路や信用力などの互いに強みを組み合わせることで、大きな価値を生み出すこと可能性が高くなります。
一方、大規模な建設工事等で見られるようなジョイントベンチャーでは、それぞれの企業が持つ技術力や人材を共有することで、建設工事に必要なスキルや作業員を確保するとともに、大規模工事のリスクを分散するといった目的があります。なお、建設工事では、工事が完了すると、ジョイントベンチャーはその役割を終え、解散となります。
ジョイントベンチャーのメリットとデメリットは何か?
ジョイントベンチャーのメリットとして、シナジー効果、スピード、リスクの軽減の3つがあげられます。目的のところでも触れましたが、互いの強みを組み合わせることで、それぞれが個別に事業を行うよりも大きな価値を生み出すことが可能になります。また、それぞれがすでに持っている資金や人材、販路などを共有することで、大きなビジネスを早期に立ち上げ、その効果を早く享受することも可能です。そして、複数の企業が共同出資するため、100%の単独出資よりもそれぞれに出資比率に応じてリスクも軽減されます。
デメリットとしては、利益率の低下、技術やノウハウの流出、意思決定の複雑化の3つが上げられます。複数の会社と人材や技術、ノウハウを共有するということは、当然、自社の機密情報が流出するリスクが生まれます。ジョイントベンチャーの設立に際しては、パートナー企業の選定を慎重に行い、契約書に秘密保持義務を盛り込むなどのリスク対策が必要です。また、ジョイントベンチャーの利益は出資率に応じて分配されるため、リスクは軽減されますが、リターンも単独で事業を行う場合よりも低くなります。それから、複数の企業で経営にあたるため、意思決定のプロセスが複雑になる可能性があります。それぞれの会社の経営方針の違いや、利害関係が絡む場合もあります。
ジョイントベンチャーと買収や提携とはどう違うのか?
ジョイントベンチャーは複数の複数の企業が互いに出資し、新しい会社を立ち上げて事業を行うことですが、以下の2つのパターンがあります。
・複数の企業が共同で出資して新しい会社を設立
・既存企業の株式の一部を買収して、既存の経営者と新たな株主で共同経営する
一般的には前者のケースが多いですが、複数の企業が1つの事業に関わる形態としてジョイントベンチャーの他に買収と提携(アライアンス)があります。
・買収との違い
買収は他社の発行済み株式の過半数を買い取ることで経営権を掌握するため、ジョイントベンチャーと比べると、企業に与える影響力は強いといえますが、企業文化の違いによる衝突や摩擦のリスクがあり、解消に時間がかかり、対応を誤ると、社員の大量離職を招く恐れがあります。
・提携(アライアンス)との違い
提携は他社と協力して事業を展開することで、ジョイントベンチャーや買収と異なり、資本の移動がありません。共同で出資することはありません。資本を伴わない緩やかな協力体制であるため、ジョイントベンチャーよりもスムーズに話を進めやすいというメリットがある一方、資本を伴わないことによる責任の重さの違いから協力関係が曖昧になり、期待する結果を得られない可能性があります。
以上のことから、ジョイントベンチャーは買収と提携の中間に位置づけられる事業形態と言えます。