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財務・会計用語集

バーチャル決算

バーチャル決算とは?

バーチャル決算とは、企業がいつでも必要なときに正確な財務諸表を作成するための、デジタルテクノロジーによって完全に自動化された統合的な会計プロセスのことを指します。

通常の月次や四半期の決算では、決算が速い企業でも財務諸表を作成するのに10日前後の時間を要しますが、事業競争の激しい成長産業の企業の経営者にとっては、それでは遅すぎます。そこで米国のハイテク産業の一部企業は、自社の日々の財務状況を把握するために、会計システムの収集されるデータのスピードと質を高め、会計プロセスを改善し、経営者が日々の意思決定を行うに必要な詳細な経営データにリアルタイムでアクセスできる環境を整備しました。

バーチャル決算は“決算”という表現を使いますが、費用の配賦や引当金の計上など、オンデマンドでの会計処理にはそぐわないものは、経営データの有効性を損なわない範囲において見做しや予算値で計上され、影響が軽微であれば省略されるものもあり、会計監査を伴うような制度会計のプロセスとは必ずしも一致しません。バーチャル決算という言葉は日本ではあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、欧米企業を中心に経営の意思決定に必要な経営データを必要なタイミングで提供するための簡易決算(数値の正確性を損なわない範囲で制度的なプロセスを省略した決算プロセス)という点では、管理会計用語として使われる“日次決算”に近いと言えるかもしれません。

バーチャル決算の実施方法は?

バーチャル決算の実施にはなるべく早く(リアルタイムに)、正しいデータを会計システムに収集する必要があるため、社内のITシステムの構造的な変革を行う必要があります。関係する部署は経理財務部門にとどまらず、販売や購買、メーカーであれば生産や物流など多くの部門の人やシステムが関与します。業種によっては店舗販売のオペレーションやシステムも変革の対象となるかもしれません。

ERPシステムはその中でもっとも重要な役割を果たします。ERPシステムを会計以外の領域(販売や購買、生産など)も含めて導入している企業では、各部門の業務プロセスを包括的に管理し、各部門で発生したデータをリアルタイムに会計データとして把握することが可能になります。

ERPシステムの強みを最大限発揮するために、各部門は社内の全取引を標準的なデータ入力手順に従ってERPシステムに入力する必要があります。同一の指針に従ってデータを入力すれば、誤入力や入力漏れが減り、データの質が向上し、経営データの報告サイクルを大幅に短縮することができます。

また、請求書、注文書、その他全ての取引文書を含む全ての取引情報をデジタル化し、一元管理することは、一貫性のあるデータ入力が促進され、会計データの信頼性が向上します。ERPシステムを会計業務などの特定の業務にのみ導入している企業では、ERPとERP以外の業務システムとのデータ連携や、業務システム内でのデータ処理のサイクルなどに改修が必要になるかもしれません。

さらに、ERPなどの基幹システムの周辺のオペレーション領域では、ワークフロー自動化、オンライン取引ポータル、手作業の自動化推進、社内の形式的事務手続きの削減といった施策が、より合理的で包括的なデジタルプロセスに寄与し、バーチャル決算を実現する上で効果的です。

FAQ(よくある質問)

バーチャル決算のメリットは、何ですか?

バーチャル決算の最大のメリットは、企業が月末や期末だけでなく、財務データを継続的に監視して文字通りオンデマンドで帳簿を締められることです。これにより、経営者が戦略的な意思決定に必要な経営データに、必要なタイミングでアクセスできるようになります。

また、会計プロセスが統合的にデジタル化されることで、経理財務部門の担当者はそれまでの手作業による業務オペレーションから解放され、より付加価値の高い業務へとシフトすることが可能となり、経理財務部門の生産性の向上とワークエンゲージメントの向上が期待されます。さらに、デジタルを活用した洗練されたオペレーションと経営貢献への手応えを感じられる組織は、外部人材にとっても非常に魅力的な組織となることは間違いありません。

バーチャル決算のデメリットは、何ですか?

バーチャル決算には、いくつかのデメリットもあります。業務部門、財務部門その他の組織に多額の投資が必要となり、特に大企業の場合、会計ITシステムの変革は非常に高額な費用を伴う可能性があります。

情報の収集、入力、保管の方法に関する企業文化を変容するために、スタッフが時間と労力を費やす必要もあります。バーチャル決算への移行が、外部ソースにいくつかの課題をもたらす可能性もあります。取引先や顧客、他の企業も同じバーチャルプラットフォームを使用しているとは限らず、彼らは、バーチャル決算実現のために企業が導入する処理に不慣れである可能性もあります。

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