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財務・会計用語集

固定資産

固定資産とは?

固定資産とは、企業が事業に役立てるために調達し所有する、金銭的価値のある品目です。一般的に、固定資産は1年以上の期間にわたり使用可能な、または1年後以降に現金化が想定されている資産です。

一方で、1年以内に現金化が想定される資産は流動資産と言います。また、通常の仕入や販売といった営業活動で生じる資産(売掛金や在庫など)は、現金化されるまでの期間を問わず、流動資産に分類されます。

固定資産には有形固定資産と無形固定資産があり、有形固定資産には建物、設備、工具、車両、コンピュータ、家具などを含められ、無形固定資産には特許権や借地権等の法律上の権利やソフトウェア、のれん(営業権)等があります。

また、有形資産でも、使用期間が1年未満の場合は固定資産とはみなされません。例えば消耗品や紙製品は有形ですが、1年以上使用することはないため、固定資産ではありません。

さらに1年以上使用可能でも、取得価額が低額(※)な場合、通常は固定資産としては扱いません。例えば衣類やバインダーは1年以上使用可能ですが、経済的価値が小さく固定資産とみなされず、税務上では経費として処理されます。

※日本の税法では、使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、使用した会計年度に経費処理すると定められています(2022年4月時点):
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

貸借対照表における固定資産の表示

固定資産は、貸借対照表上では流動資産、固定資産、繰延資産の順番で表示され、固定資産のカテゴリーの中で有形固定資産、無形固定資産に分けて記載し、さらに土地や建物などの資産種類に応じた勘定科目別に記載されます。

IFRSでは少し異なり、資産を流動資産と非流動資産に大別し、非流動資産の中で有形固定資産、無形資産、のれんなどの他の非流動資産とならべて記載されます。

固定資産の種類

企業が保有する固定資産は業種によって様々です。例えば、メーカーであれば工場に必要な土地、建物、製造用の設備などが必要ですし、物流会社であれば物流拠点のための倉庫や配送用の車を多数保有する必要があります。

また、固定資産を保有する利用も様々です。前述のメーカーや物流会社の例のように、商品の製造やサービスの提供を通じて企業が収益を生み出すために保有する場合もありますし、固定資産を第三者に貸し出して利益を得るために固定資産を保有する場合もあります。例えば駐車場は、駐車料金を通じて所有者に利益をもたらします。マンションやオフィススペースは、賃貸やリースによって利益を生みます。固定資産が利益を生まないものの、企業や組織の運営に役立つこともあります。企業や業界団体の本社ビルは、事業運営の拠点となる場所を提供します。

固定資産は、売却することで現金を獲得することもできます。例えば、不要になった機械や自動車の売却で現金を得るほか、自社ビルを保有する企業がビルを売却し、リース契約で借り直すことで、ビルの使用を継続しながら現金を獲得することができます(セールス・アンド・リースバック)。さらに、固定資産は金銭的価値が比較的大きいため、融資の担保に使用する場合もあります。

固定資産と減価償却

固定資産には、時間とともに価値が減少するという固有の特徴があります。車両などは消耗によって価値を失い、コンピュータ機器は技術進歩に伴って役に立たなくなり、時代遅れになることで価値を失います。

この経時的な価値の減少を計算に入れることを、減価償却と言います。

減価償却によって、会計上は固定資産を取得するために支出した金額を、複数年にまたがって費用計上(減価償却費)し、取得価額と償却額(減価償却累計額)を差し引くことで、固定資産の正味価値を評価します。貸借対照表の固定資産残高には、この正味価値が記載されます。

固定資産の減価償却費の算出

減価償却費は、資産の耐用年数を通じて毎年同じ額を差し引く定額法と、毎年同じ率で差し引く定率法のいずれかで算出できます。定率法の場合は、取得後の最初の数年間は償却額が大きく、使用期間の後半では償却額が小さくなり、同じ使用期間であれば、最終的な残存価値が定額法とほぼ等しくなるように率が設定されます。

FAQ(よくある質問)

なぜ企業は固定資産を保有するのですか?

どんな企業にも固定資産が必要です。固定資産は、企業による製品の製造、サービスの提供、事業全般の運営に使用されます。固定資産は、企業に金銭的価値をもたらします。売却したり担保に使用したりできることに加えて、投資家や銀行、監査役が企業の合計価値を評価する際に、金銭的価値を持つ他の資産と共に固定資産も考慮されます。

固定資産は、どのように記帳されますか?

固定資産の記帳方法は会計基準によって異なります。日本基準の場合、一般的に流動資産、固定資産、繰延資産に分類され、固定資産の中で、有形固定資産と無形固定資産に分類され、資産の特性に応じた勘定科目に記帳されます。

IFRSの場合は、通常、バランスシートの「property, plant and equipment」という項目に、他の非流動資産とともに記帳されます。

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