小口現金照合
小口現金照合とは?
小口現金とは、企業が文房具や切手、来客時に提供するお茶やお菓子など、日常的に発生する細かい経費の支払いに備えて用意しておく現金のことを言います。小口現金の管理では、担当者が毎日、帳簿の残高と金庫の現金の残高に相違がないか確認する必要があり、この確認作業のことを小口現金照合と言い、小口現金の真実性を保つための重要な内部統制です。
小口現金は手許に現金があるため、預金と異なり個人による持ち出しが容易であり、浪費や盗難、不正使用などが生じがちです。こうした小口現金でのトラブルを防止する上でも小口現金の照合は重要です。企業は小口現金照合で、小口現金の使用状況を注意深く監視する必要があります。残高の照合に加えて、小口現金が社内の指針・方針に従って使われているか、また全ての取引が領収書や請求書と共に適切に文書として記録されているかの確認が必要です。
小口現金の管理方法
小口現金は金庫に保管します。仮に担当者の机の引出しに保管せざるを得ない場合も、施錠をし、担当者以外の人が容易に持ち出せないようにすることが大切です。
次に、小口現金の動きを記録するために小口現金出納帳を用意します。小口現金出納帳には、受入金額、日付、摘要、支払金額、支払内訳、残高を記録します。小口現金出納帳への記録は抜け漏れがないよう、必ずお金に動きがあった都度記入し、現物と帳簿の残高を常に一致させます。その上で、毎日、就業時間の終わりには帳簿残高と現金残高の相違の有無を確認し、小口現金の当日残高を確定させます。もし万一、差異があった場合は原因を調査必要がありますが、仮に調査を一週間単位で行うと、取引の件数も多くなり、原因究明が難しくなるため、照合業務は毎日実施することが大切ですし、不正防止の内部統制の観点からも有効といえます。
現金に関する企業の帳簿としては現金出納帳がありますが、こちらは企業全体としての現金の入出金と残高を記録するものであり、一方、小口現金は場所(本社ビルや支社支店、工場など)や部署などの単位で設けられる金庫ごとの現金の出入りを詳細に記録するもので、各金庫の小口現金出納帳が集計されて、現金出納帳となります。企業として現金残高も取引量も少ない場合は、必ずしも小口現金出納帳を作成する必要はなく、実務上、支障がなければ現金出納帳で代用しても構いません。
小口現金の廃止
小口現金は急に現金が必要な場合にすぐに対応できる反面、金銭の用意や日々の残高のチェックといった作業に加えて、浪費や盗難、不正使用のリスクがあるため、廃止する企業は少なくありません。小口現金を廃止するためには、以下のような方法で現金取引を最小化する必要があります。
・業者に対する支払いを口座振替にする
・備品や消耗品などの購入にネット販売を利用する
・切手や印紙などは都度購入せずに一定量をあらかじめ購入しておく
・従業員の立替精算を口座振込にする
・コーポレートカードを導入する
いずれの方策も取引先への依頼や従業員への周知徹底が必要であり、現場の混乱を回避するために、数か月の猶予期間を設けて着実に進めることが大切です。