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財務・会計用語集

仮勘定

<目次>
仮勘定とは何か
仮受金の使用方法
顧客からの入金がどの売掛金明細に該当するのか不明な理由
仮払金の使用方法
仮払金と立替金の違い
勘定残高の照合と内訳書の作成
FAQ(よくある質問)

仮勘定とは何か

仮勘定は、会計上の取引は発生したが、勘定科目を確定させるために必要な詳しい情報がない場合に、一時的に取引を記録する目的で使用されます。
よく使用される勘定科目として、仮払金や仮受金、建物の建築や機械などの製作の未完成の状態の費用を計上する勘定科目として建設仮勘定があります。
仮勘定はあくまで一時的な仮の勘定科目であり、決算時に仮勘定の残高が残ることは、詳細不明な取引が存在していることを意味し、財務諸表の信頼性を損ねるため決算時には然るべき勘定科目への振替を行い、財務諸表の仮勘定残高をゼロにする、もしくは仮勘定を記載しないようにする必要があります。なお、建設仮勘定は工事期間が長く、目的や用途が明確であるなど、他の仮勘定とは性質が異なるため、この限りではありません。

仮受金の使用方法

取引先から入金があったが、何に対しての入金なのか、また、ある取引の一部入金なのかがわからない場合などに、いったん「仮受金」という仮勘定で処理します。例えば、顧客から入金があったものの、その入金が顧客に対する売掛金のどの明細に該当するのか判断する情報が不足している場合に、いったん仮受金として計上します。また、取引によっては商品やサービスを提供する前に前受金を受領する場合がありますが、入金時にその内容が不明確だった場合などにも、仮受金として計上します。
いずれの場合、顧客や担当営業に問合せし、該当する請求書等を確認した上で、然るべき勘定科目へ振替えます。

顧客からの入金がどの売掛金に該当するのか不明な理由

顧客からの入金時にどの売掛金の明細に該当するのか不明な理由は様々です。
例えば、顧客が複数の取引の支払をまとめて実施した場合や、何らかの理由により取引の全額ではなく一部のみを支払った場合などが該当します。支払期日を超過した支払われる場合にも確認が必要です。
また、小売りのビジネスでは販売店が商品の代金をメーカーに支払う際に、販売奨励金などのリベートを控除する場合がありますし、建設工事や大掛かりなソフトウェア開発を請負う場合は前受金を予め受注先から受け取る場合があり、営業部門と経理部門の連携が不十分な場合、該当する売掛金が不明な入金や、理由が不明な入金が発生します。
一般的に売掛金の入金消込は煩雑な業務です。特に日本企業の場合、複数の取引を集約して月末にまとめて支払うという商習慣や、銀行の振込データの情報が少ないなどの事情から、ERPや会計システムでの消込処理の自動化が難しく、売掛金の入金消込の効率化は、多くの経理財務部門にとって大きな課題となっていましたが、近年では柔軟な照合機能を持ったクラウドサービスが提供されるようになり、さらにZEDIの普及次第では大幅な効率化が期待されるところです。
ZEDIとは https://www.zengin-net.jp/zedi/花王様事例バナー.PNG

仮払金の使用方法

用途や金額が確定しない状態でいったん支払いを行う場合、「仮払金」という仮勘定を使います。例えば、従業員が長期出張する際に、出張に必要な経費を概算であらかじめ支出する場合などが該当します。この場合は出張が完了した時点で仮払いの使用明細と証憑を入手し、仮払金を精算し(然るべき経費勘定に振替)、残金を受領(不足の場合は支給)します。

仮払金と立替金の違い

仮払金も立替金も一時的に支払い、後で精算するという点では同じですが、仮払金が会社の費用として然るべき費用勘定に振替えるのに対し、立替金は従業員や取引先が負担すべき費用を会社が一時的に建替えるもので、必ず回収する必要があります。
例えば、社会保険料には会社負担分と個人負担分とがありますが、会社がいったん全額を支払い、後から給与天引きなどで従業員から回収する場合、未回収の社会保険料は立替金として処理されます。なお、事前に個人負担の社会保険料を給与から天引きし、後で相手先に支払う場合は、未払いの社会保険料は預り金として処理します。

勘定残高の照合と内訳書の作成

通常、仮受金や仮払金は総勘定元帳とは別にExcel等で詳細を管理し、精算処理や残高管理に利用しています。決算時に残高が残った場合には、総勘定元帳の残高と管理表の残高が整合していることを確認し、金額の大きい取引については内訳書を作成する必要がありますが、取引件数が多い企業の場合、この照合処理を内訳書の作成が煩雑となり、決算を早期化する上で課題のひとつとなっています。
※勘定照合の標準化・自動化に関する参考ブログ:「決算業務における勘定照合とは」

FAQ(よくある質問)

仮勘定はなぜ必要なのですか?

仮勘定があれば、正しい勘定科目に入力するために必要な情報が不足していても、取引を転記できます。こうした取引を記録しない場合、会計帳簿に計上されない取引が発生し、その企業の会計報告は企業会計原則の正規の簿記の原則の要件である網羅性を欠いた、信頼性の低いものとなります。

仮勘定残高は、総勘定元帳にどのように記帳するのですか?

仮勘定は、取引は発生したが、その時点ではどの勘定科目に振り分けるか判明していない、あるいは正当な勘定科目に計上すべき金額が確定していない場合に一時的に使用する勘定科目で、多くの企業では仮受金と仮払金が該当します。

顧客から詳細不明の25万円の入金があり、問合せの結果、商品代金27万円の支払いと販売奨励金2万円の控除による入金であることが判明した。
入金時:現預金 250,000 / 仮受金   250,000
精算時:仮受金 250,000 / 売掛金   270,000    
    000,00     ,/ 販売促進費 20,000

従業員に長期出張にかかる経費20万円を概算で支払い、出張完了後に経費明細と証憑を入手し、不足分2万円を追加で支給した。
支払い時:仮払金    200,000 / 現預金 200,000
精算時: 出張旅費  205,000 / 仮払金 200,000
     会議費   15,000 / 現預金 020,000

建物の建設や社内設備の製造を行う場合には、建設(製造)にかかった費用は建設仮勘定として計上し、工事が完了した時点で固定資産や費用勘定に振替えます。

どれくらいの期間、仮勘定に計上すべきですか?

仮勘定はあくまで一時的な勘定科目であり適切な期間というものはありません。工事期間が長い建設仮勘定を除いて、決算書に仮勘定の残高があると、その企業の会計報告に対する信頼性が損なわれてしまいます。仮受金や仮払金などの仮勘定に計上した取引は、定期的にかつ出来る限り速やかに精算してください。

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