売上債権回転率

売上債権回転率とは何か？

売上債権回転率は、売上債権の回収の速さを表す指標で、売上債権の回転率が高いほど効率的に回収できていることを示しています。売上債権とは、商品やサービスを信用販売した際に、将来的に代金を受領する権利であり、一般的には売掛金と受取手形のことを指します。

売上債権回転率が低いと、売上債権の回収が効率的にできていないことを意味しますが、回転率は業種業態による違いもあり、回転率が低いからといって一概に資金繰りが悪化しているとは言えません。しかし、時系列で比較して回転率が低下している傾向がみられる場合は、資金繰り悪化の兆候と捉え、対策を講じる必要があります。

同じような言葉に売上債権回転期間があり、こちらは回転期間が短いほど、売上債権を短期間で回収できていることを示しています。回転期間を表す単位として日数（売上債権回転日数）や月数（売上債権回転月数）などがあります。

売上債権回転率は一般的に、会社全体や事業単位での経営効率や資金効率を測る指標として用いられるのに対し、売上債権回転期間は、組織や事業などの大きな単位に加えて、より細かい現場レベルでの回収業務の効率性の評価や改善活動に用いられます。

売上債権回転率の算出方法は？

売上債権回転率は以下の計算式で算出します。

・売上債権回転率 ＝ 売上高 ÷ 売上債権残高

売上高が月によってばらつきがある場合、いつ時点での売上債権残高を用いるかで回転率にばらつきが出るため、回転率を評価する期間の平均残高を用います。一方、売上債権期間の計算式は以下のようになります（回転期間の単位を日数とする場合）

・売上債権回転日数 ＝ 売上債権残高 ÷ （売上高 ÷ 365）

売上債権残高は、売上債権回転率と同様に平均残高を用います。

FAQ（よくある質問）

売上債権回転率は、なぜ重要なのですか？

売上債権回転率は、企業の経営効率や資金効率を測る指標です。回転率が低いということは、現金化するまでのスピードが遅いということであり、資金不足を招き、最悪の場合倒産するリスクもあります。また、売上債権回転率が低いと、投資家や金融機関から与信管理能力や経営管理能力が低い企業と判断される可能性もあります。売上債権回転率は業種業態によって標準的な数値に違いがありますので、正しく判断するためには時系列での比較や、同業他社と比較する必要があります。

売上債権回転率はどうすれば改善されますか？

売上債権回転率を改善するには大きくは以下の２つの方法があります。

１）取引先との支払条件を見直して、代金回収のサイトを短くする
相手がいることなので見直しは容易ではありませんが、一律で同じ支払条件を適用するのではなく、取引先の信用力や個々の商談の規模や内容に応じて、よりリスクの低い（＝支払いサイトが短い）条件を柔軟に適用するなどの施策が考えられます。

２）売上債権の管理を強化し、滞留債権を削減（撲滅）する
まず滞留債権や不良債権の有無を確認し、該当するものがある場合には早急に回収のアクションをとり、もし回収不能と判断される場合には損失計上等の処理を行います。加えて、与信管理を徹底し、日頃から取引先の経営状況や入金状況をウォッチする等により、滞留債権や不良債権の発生を防止します。

回転率を用いる指標として、売上債権回転率の他にどんなものがありますか？

回転率は、評価対象の資産や負債が一定期間（通常は一年間）に何回入れ替わったか（回転したか）を意味し、一般的には回転率が高いほど効率よく管理できている、経営効率が良いとされています。回転率を用いた主な指標として、売上債権回転率以外では以下のような指標があります。

＜仕入債務回転率＞
　仕入債務（買掛金＋支払手形）の支払の効率性を測る指標で、以下の計算式で算出します。

・仕入債務回転率 ＝ 売上原価 ÷ 仕入債務残高（平均値）

他の指標と異なり、仕入債務は回転率が低いほど支払いが遅いことを意味し、資金繰りの観点では悪い方向ではありませんが、時系列で比較して回転率の低下がみられる場合は、資金繰りが苦しいために支払いを延期している可能性もあり注意が必要です。

＜棚卸資産回転率＞
　棚卸資産の運用効率を測る指標で、回転率が高いほどよく売れている（早く売れる）ことを意味し、財務分析や在庫管理の指標として用いられます。

・棚卸資産回転率 ＝ 売上原価 ÷ 棚卸資産残高（平均値）

<総資産回転率>
　総資産回転率は企業が保有する資産がどれだけ効率的に売上を上げたかを示す指標で、総資本回転率ともいいます。

・総資産回転率 ＝ 売上高 ÷ 総資産残高（平均値）