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財務・会計用語集

債権回収

債権回収とは?

売掛金や貸付金などの取引先に対する債権の支払いが滞っている場合、取引先に対して催促や交渉などの回収のための行動を起こさなければなりません。この、期日までに支払われなかった債権の回収を試みる処理を債権回収といいます。また、債権には消滅時効がありますので、それまでに行動を起こす必要があります。債権回収を行わずに済むように、与信管理のルールを整備し、運用を徹底するとともに、日頃から取引先の支払状況や経営状態をウォッチしておくことが重要です。しかし、それでも何らかの事情により債権の支払いが滞った場合、どのようなアクションを起こせばよいでしょうか。

債権回収はどのように行われるか?

債権回収にはいくつかの手段があり、状況に応じて適切な対策を講じる必要があります。

<契約内容や取引の状況の確認>
支払条件について債権管理部門と営業との間で齟齬がないか確認します。また、納品物に欠品や返品など社内に起因する問題が発生していないかも確認が必要です。

<取引先へ問い合わせ>
取引先に電話やメールで問合せを行い、支払を促す。単に取引先が支払いの事務手続きを漏らしているケースでは、ほとんどの場合、この段階で債権回収は終了します。

<内容証明郵便での督促(催告)>
電話やメールでの催促に取引先が応じない場合は、内容証明郵便を送付して督促する方法があります。内容証明郵便は、郵便局が差出人・受取人・差出日時・内容を証明してくれる郵便物で、 信頼性の高い文書であるため、「正式な請求である」というメッセージを債務者に伝えることができます 。また、内容証明郵便による督促には、消滅時効の完成を猶予する効果もあります。

<支払督促の申し立て>
支払督促とは、簡易裁判所によって債務者に対して支払いの督促をしてもらう手続のことです。簡単な書類審査で行われ、債権者は煩雑な書類を準備する必要がありません。支払督促を行って相手方が異議を申し立てなければ、仮執行宣言を得て、強制執行をすることができます。ただし、相手方が支払督促に異議を申し立てた場合には、支払督促は効力を失い、自動的に訴訟手続きに移行するため、注意が必要です。

<訴訟の提起>
裁判所に訴訟を提起し、債権の存在を証拠によって立証することで、債権者側の言い分が認められれば、裁判所は債務者に対して支払を命ずる判決を言い渡します。訴訟には時間がかかるイメージがありますが、60万円以下の債権の支払を求める場合は、簡易裁判所で少額訴訟を行うこともできます。少額訴訟は原則として1回のみで審理を終え、即日判決が出ます。

<強制執行による回収>
裁判で勝訴判決や和解調書を得たにもかかわらず相手方が支払いに応じない場合、債権者の申立てにより、裁判所が差し押さえた債務者の財産から債権を回収する“強制執行”の手続をとります。強制執行の方法として、不動産を売却して支払いにあてる「不動産執行」、在庫や設備などを売却して支払いにあてる「動産執行」、預金などを取り立てる「債権執行」などがあります。

消滅時効とは何か?

消滅時効とは、一定期間権利を行使しないとその権利が消滅する制度のことで、法律によって定められています。2020年4月1日施行の民法改正の施行日前に発生した債権と、施行日以降に発生した債権とで時効までの期間が異なります。施行日前の民法では債権が生じた業態による例外がいくつか設けられていましたが、2020年月1日以降は業態に関係なく、「権利を行使できると知ったときから5年」と「権利を行使できるときから10年」のいずれかが経過した時点と定められています。

なお、期間の経過で自動的に消滅時効が完成するわけではなく、債務者が時効による利益を受ける旨の意思表示をすることで初めて時効が完成し、債権が消滅します。消滅時効には、それを阻止する方法がいくつかあり、以下のような措置をとることで、時効の完成を猶予または更新することができます。

<時効を完成猶予する措置の例>
・裁判所に訴訟を提起する
・裁判所に支払督促の申し立てをする

<時効を更新する措置の例>
・債務者に債務について認める書面を提出させる(債務の承認)
・債務者に債務の一部を弁済させる(一部弁済)

海外取引の債権回収

相手が海外企業の場合、言語や文化、法律の違い、政治的な問題など、国内企業とは異なる多くの問題が存在しています。単純に距離が遠いというだけでも、国内取引と比べると物理的なトラブルが生じやすい要因となります。

企業が直接、海外企業に対して債務履行の請求する方法は国内取引と基本的には変わりなく、電話、Eメール、FAX、郵便(ただし、内容証明郵便は不可)にて行いますが、支払いを遅らせることが評価されるような地域も一部には存在するので、日頃から状況を注視する必要があります。

法的な措置をとる場合は、どこの国の裁判所で手続きをとるかという問題があります。通常は契約書の中で、トラブルが発生した場合の管轄に関して「○○国の☓☓裁判所」で解決する旨の意思表示をしておきます。 そして、もうひとつ大きな違いとして、海外取引の債権回収には債権回収代行会社の存在があります。日本では弁護士以外の第三者が債権回収をビジネスとすることは法律で規制されていますが、海外では一般的なビジネスとして認知されています。

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